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リンパ節転移後の前立腺がん治療法


前立腺がんはリンパ節へ転移しやすいがんの一つです。発見されたときにすでに病期D1=リンパ節転移の場合ホルモン療法や抗がん剤治療しか選択肢はないのでしょうか?詳しく解説していきます。

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リンパ節転移のメカニズム

前立腺がんは、進行すると骨への転移の次に多いのがリンパ節への転移だといわれています。基本的には、がんは原発巣を離れると生きていけないのですが、「転移」とは血液やリンパ液によってがんが運ばれ、原発巣である前立腺から離れたところで増殖することであり、その状態のがんを「転移がん」と呼びます。なかでも、骨盤の中の前立腺の周りのリンパ節への転移が多くみられます。がんがリンパ節に転移すると、下肢のむくみ、リンパ管の炎症、排尿困難などの症状が出ます。

◎リンパ節転移の診断

腹部CTや腹部エコーなどで、リンパ節転移の有無を調べることができます。また、「リンパ節郭清」といって、骨盤内のリンパ節を切除し、がんの転移の有無を顕微鏡で調べる方法もあります。前立腺がんの所属リンパ節は小骨盤リンパ節のことで、下腹部リンパ節や腸骨リンパ節、仙骨リンパ節などの総腸骨動脈分岐部以下の骨盤リンパ節を指します。遠隔リンパ節は、動脈リンパ節、総腸骨リンパ節、鼠径リンパ節、鎖骨上窩リンパ節、頸部リンパ節など、小骨盤の範囲外のものを指します。小骨盤のの範囲外のものを指します。転移がんはTMN分類によって表され、それによって治療法の選択が検討されます。所属リンパ節への転移はN1、遠隔リンパ節への転移はM1となります。

転移後の治療法、基本的には「ホルモン療法」と「抗がん剤治療」

進行度・病期の点から分類すると、転移がんは病期Dです。所属リンパ節への転移はD1、遠隔リンパ節への転移はD2になり、再発がんであるD3ステージを除けば、最も進行した状態であるといえます。リンパ節に転移が見られる場合は、基本的にホルモン療法と抗がん剤治療によって、がんの進行を抑える治療法がとられます。 骨盤リンパ節への転移が確認された前立腺がんは、再発や遠隔転移のリスクが相対的に高まるので、ホルモン療法に追加して放射線治療が用いられる場合があります。ホルモン療法は錠剤や注射での投薬、また放射線治療も1回の照射が10分程度ですので、外来通院での治療が可能です。

◎D1: 所属リンパ節に転移しているがん

所属リンパ節への転移で範囲が小さい場合は、ホルモン療法に加えて摘出手術が選択されるケースが多いです。リンパに転移したら手術できない、と思われている方も多いかもしれませんが、必ずしもそうではありません。ただし、範囲が広く摘出が困難と判断された場合はホルモン療法+放射線治療や抗がん剤治療による進行抑制を目的とした治療が中心となります。最近では直腸や膀胱への損傷を少なく、狙った部分への適正な強度の線量分布が行えるようになってきており、ホルモン療法後の経過が良好な場合には、リンパ節を含めて骨盤照射を実施することがあります。

◎D2: 遠隔リンパ節に転移しているがん

遠隔リンパ節に転移している場合、広範囲の転移が確認されることが多く、ホルモン療法や放射線治療が多くなります。転移があっても転移巣が小さいほど5年生存率は良好であるという報告も見られますので、ステージDであっても早期発見・早期治療は重要であるといえます。

がんが多箇所に散らばっている場合、局所療法としての全摘手術や放射線治療はあまり効果が期待できません。ホルモン療法として精巣摘出手術を選択される方もまれにいらっしゃいますが、根治が望める早期段階の精巣摘出とは異なり、金銭的な問題から精巣摘出になっているだけで、基本的には投薬治療が一般的といえます。また、精巣摘出手術には副作用があります。主なものとしては、性欲の減退、勃起力の低下、女性の更年期障害のような、ほてりや発汗などが挙げられます。何よりも、精巣を取り去ってしまうことに対しては、仮に子供をつくる年齢を過ぎた人や、作る予定が無い人でも心理的なダメージや抵抗が大きいと感じる人が多いでしょう。

治療法の選び方

前立腺がんは早期発見・早期治療(摘出手術)により根治が可能ながんです。しかし、リンパ節に転移してしまうと手術が困難となるため、摘出手術を行うのであれば、担当医とよく相談の上、手術の前後に組み合わせて行う治療法の選択や、がんの状態に応じて摘出の時期を見極めることが肝心です。 近年、摘出手術において主流となってきているダヴィンチ法であれば、従来の術式に比べ、非常に精密かつ繊細な作業か可能になったため、勃起神経を温存したまま、前立腺がん組織を摘出することができるようになりました。


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