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前立腺がんの化学療法(抗がん剤治療)について


骨やリンパへの転移が発見された場合や、ホルモン療法が効かなくなってきた場合に合わせて選択される化学療法(抗がん剤治療)について詳しく解説します。

化学療法とは

化学療法とは、抗がん剤を使った治療法の総称になります。抗がん剤には、がん細胞の増殖を抑制したり、再発や転移を防いだりする効果があります。手術治療や放射線治療が局所的な治療であるのに対し、化学療法は全身に治療の効果が及ぶことが期待できます。従って、化学療法は転移しているがんに用いられるのです。抗がん剤というと、点滴のイメージが強いかもしれませんが、注射や飲み薬のものもあります。一種類だけの場合もありますが、数種類組み合わせることもあります。従来の入院による投与に加え、最近では新しい抗がん剤や副作用を抑える薬を組み合わせることで、外来や自宅での化学療法が可能になってきました。

一口に化学療法といっても、病期や生活スタイルによって、目的や実施のタイミングが異なります。化学療法のみを実施する場合には、がんの進行を遅らせたり再発を防ぐのが目的になります。一方、手術と併用する場合、手術前に化学療法でがんを小さくして手術ですべて取り除けるようにするのが目的です。手術で切除する部分を小さくすれば、体への負担も軽減されるためです。手術後も、目には見えない小さながんが残っているかもしれないため、再発・転移の予防として投与を続けることがあります。

◎前立腺がんの場合は放射線治療と組み合わせられることが多い

前立腺は男性ホルモンであるアンドロゲンの影響を受け増殖します。前立腺がん細胞も同様にアンドロゲンの影響を受けます。ホルモン療法(内分泌療法)はアンドロゲンの分泌や働きをブロックして、がんの増殖を抑えるために、脳の下垂体に働きかける薬剤を注射し、精巣からアンドロゲンが分泌されるのを抑える方法と、「抗アンドロゲン剤」を内服してアンドロゲンが前立腺の細胞に働きかけるのをブロックする方法の2つがあります。

◎前立腺がんに抗がん剤は効きづらい?

前立腺がんの化学療法は「ホルモン療法で十分な効果が得られなくなった」場合に選択されます。

抗アンドロゲン剤を長期間使用していると効果がなくなり、PSA値が上昇する場合があります。その際は、別の抗アンドロゲン剤や新規ホルモン剤を使用しますが、がんがホルモン治療に抵抗性を見せ、アンドロゲン除去療法やアンドロゲン交替療法を行ってもPSA値が下がらない去勢抵抗性前立腺がんになってきたらどうするのでしょうか。従来、前立腺がんには抗がん剤は効きづらいとされていました。しかし、この状況を打開したのが抗がん剤のドセタキセルです。抗がん剤というと、副作用が強く何となく怖いイメージがあるかもしれませんが、ドセタキセルは比較的副作用が軽微で外来通院での投与が可能となっています。

ドセタキセル治療により、去勢抵抗性前立腺がんの生存期間が延長しました。

前立腺がんで使われる抗がん剤一覧

タキサン系抗がん剤が前立腺がんで主に使われる抗がん剤です。タキサンとはイチイ属の植物から発見された化合物です。タキサン系抗がん剤には、骨髄抑制のほか、むくみ、吐き気、嘔吐、倦怠感、手足のしびれなど、様々な副作用が生じる場合があります。できるだけ長く治療を続けるためには、副作用対策が重要であり、副作用を抑える薬や方法が開発されています。まずドセタキセルから治療を開始し、効果がない場合にカバジタキセルを開始します。

◎ドセタキセル(タキソテール)

前立腺がんの場合、通常、60-75mg/㎡を1時間以上かけて3-4週間間隔で点滴静注します。重大な副作用には、好中球減少症、発熱性好中球減少症、貧血、血小板減少症、アナフィラキシー、肝機能障害、急性腎不全、間質性肺炎、肺線維症、口内炎等の粘膜炎、末梢神経障害などがあります。

◎カバジタキセル

ドセタキセルの効果がなくなったときに開始します。この治療により生存期間の延長が認められています。
前立腺がんの場合、通常、15-25mg/㎡を1時間以上かけて3-4週間間隔で点滴静注します。重大な副作用には、好中球減少症、発熱性好中球減少症、貧血、血小板減少症、下痢、間質性肺炎、末梢神経障害などがあります。

過去に使われましたが、現在はあまり使われない薬剤

◎エストラムスチン

女性ホルモンのエストロゲンと抗がん剤ナイトロジェン・マスタード(アルキル化剤)の2剤を結合させた抗がん剤です。がん細胞が分裂する際に重要な役割を持つ微小管のはたらきを阻害して、がん細胞を死滅させるとされています。 再発がんに対して効果が高いといわれています。主な副作用は乳房のふくらみと痛み、手足のむくみ、発疹、かゆみ、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢、頭痛など。また、顔やのどの腫れ、呼吸困難の症状が現れたら血管浮腫の恐れがあります。肝臓の機能が低下したり、脳梗塞や肺血栓などの血栓塞栓症のおそれもあります。

◎UFT(テガフール、ウラシル)

ウラシルは 5-FU の作用を強める効果がありますが、その配合比によっては副作用まで強めてしまいます。「テガフール:ウラシル=1:4」の割合が最適であると報告され、この配合比で薬が使用されています。2つの有効成分で腫瘍内の 5-FU の濃度を高め、その作用を維持させることができるようになります。併用することで、単独投与では得られない効果を得ることが可能です。なお、細胞毒性のある薬であり、主な副作用については下痢、倦怠感、悪心・嘔吐、腹痛などが知られています。


クルクミン