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前立腺がんの生検検査、注意点やリスクについて


生検検査は前立腺がんの診断で最も重要な検査です。生検検査を行うことによってがんがあるかないかだけでなく、がんのさまざまな状態を明らかにすることができます。生検検査にともなう注意点やリスクについて解説します。

生検査

生検検査について

正式には生体組織検査といいます。PSA検査や直腸指診、超音波検査、CT検査、MRI検査などで前立腺がんの疑いがある場合、病変部が本当にがんであるのか、またがんの種類や悪性度をはっきりと確定するために行います。生検は病変部の細胞を少しだけ採取して、顕微鏡で調べることで、前立腺がんであるかどうかを確定診断します。検査時間はおおよそ15~30分程度、手術室にいる時間だと約1時間~1時間半が一般的です。

生検検査の方法

細い針が装填された生検銃(バイオプシーガン)と呼ばれる器具を用いて行われます。この特殊な針を前立腺の領域ごとに10-20箇所、前立腺に刺して組織を採取します。このときには肛門から超音波検査をしながら針を入れる場所を決めていきます。大きく分けて「会陰」と呼ばれる陰嚢と肛門のあいだの皮膚から行う「経会陰生検」と、直腸から行う「経直腸生検」の二種類の方法があります。多くの施設ではどちらか一つの方法を選択して行いますが、両者を併用して行っている施設もあります。会陰生検は、直腸に針を刺さないため清潔度が高く、検査後の発熱の頻度が、経直腸生検よりもずっと少ないことが知られています。、生検は、安全性や検査後の安静、感染予防などから下半身麻酔または全身麻酔にて行うことが大半です。そのため、入院が必要な場合が多いのですが、最近では前立腺の周囲に局所麻酔薬を注入する方法で検査を行う施設も多くなりました。このばあいは麻酔注入部位にしか麻酔が効かないので、検査後はすぐに歩行が可能であったり、食事をしたりと通常の生活に戻れるメリットがあります。デメリットは麻酔注入時の針が刺さるときに痛みがあることや、麻酔の効き目に個人差があり、除痛が完全ではないため、検査中にかなりの痛みを感じ、検査が十分でなくがんの位置や大きさを十分に調べられないことがあることです。

生検検査を受ける時の注意点

前立腺がんの発見のために最も重要な生検検査。どのようなことに注意すればよいのか、また知っておきたいことについてまとめました。

がんに命中するとはかぎらない

刺す針は大変細いものなのでがんが小さいと当たらない可能性があります。前立腺がんが発見された方では1回の生検でがん細胞が発見される確率は70%、2回目で発見される確率は30%といわれていますので、1回の生検だけでは確定できないことがあります。ただし、生検の本数が多くなれば、診断率は高くなります。

MRIによる標的生検

欧米では前立腺がんは男性の6人に一人が罹患しますので、生検を受ける方の数も大変多いです。最近ではPSA値が高い場合にはMRI検査を生検前に撮影することで、がんと疑わしき部分の位置や状態が把握して、オーダーメードでの生検(標的生検)を行うことが行われており、日本でもこの方法を取り入れた生検を行う病院も増えています。

がんの診断はすぐにはわからない

がんの診断が判明するのは検査後2週間ほどかかります。もしかしたら前立腺がんかもしれないという思いを抱えたまま2週間という長い時間を待たなければならないのは、落ち着かないかもしれません。もしかしたら、こうしている間にもがんが進行しているのではないかという不安に襲われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、前立腺がんは他のがんに比べて、進行は遅く、週単位、月単位ではほとんど変化はないと考えていただいて結構です。

別途費用がかかる

出血があったり感染症にかかったりすると、退院までに時間がかかり、追加で入院費がかかります。特に感染リスクの高い深刻な糖尿病の患者さんは注意が必要です。

日常生活に影響も

検査後1週間は前立腺を刺激する可能性があるため自転車には乗れません。また前立腺がむくみやすくなっているので1週間程度は飲酒や熱いお風呂への入浴は避けるようにしましょう。

生検検査にともなうリスク

抗凝固剤を服用中の方

心筋梗塞や脳卒中などの血栓塞栓症の予防や治療に対して用いるワーファリンやバイアスピリンのような抗凝固剤を服用している方は必ず、検査前に医師に伝えなければなりません。あらかじめ処置をしないと針を刺した箇所から血液が流れて止まらなくなる可能性があります。

合併症・感染症の可能性

生検検査では、合併症が起こることがあります。具体的には、便に血が混じる直腸出血、精液に血が混じる血清液症などから、血尿や急性前立腺炎などが挙げられます。生検の影響で前立腺が一時的に腫れてしまうため、しばらくの間、おしっこが出にくくなることがあります。多くの場合は、特別な治療を行わなくても自然によくなります。前立腺炎や発熱といった、入院が必要な合併症は1%以下とされていますが、極々まれに、麻酔によるショック、頭痛、神経障害や、検査前には予想できないような脳卒中、心筋梗塞、肺塞栓症のような重篤な合併症が起こることもあります。感染リスクの高い深刻な糖尿病の患者さんや、先ほど挙げた抗凝固剤を服用中の患者さんは、担当医とよく相談のうえ、入院施設のある病院での検査をおすすめします。

まとめ

前立腺がんであると確定するには生検検査が必須です。最近ではMRI検査でおおよそのがんと疑わしき部分の位置や状態が把握できるので、生検前にMRI検査を行い、診断結果をもとに前立腺がんが疑われる領域を特定してオーダーメードでの生検を行うことが可能です。前立腺がんの治療は前立腺生検検査の情報に基づいて決定されるため、個々の患者さんに応じた生検検査を行うことが重要なのです。


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