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ロボット支援手術「ダヴィンチ」の活躍と魅力


前立腺がんの手術で活躍しているロボット支援手術のダヴィンチ。子宮がんなど婦人科系のがん、消化器系、呼吸器系などの手術でも大活躍していることをご存知でしょうか?ダヴィンチの魅力と保険適用などについて詳しく解説します。

前立腺がんロボット支援手術:ダヴィンチ

ダヴィンチによるロボット支援手術とは

ダヴィンチは、1990年代にアメリカで開発されました。患者に対面するロボット本体と、手術器具を操作するためのコンソール(操作台)、助手が確認できるモニタで構成され、ロボット本体の4本のアームのうち、3本で手術を行い、1本の内視鏡カメラが術中の様子を映し出します。ロボットに手術を任せると勘違いされる方がいますが、手術はオートメーションではなく、コンソールで医師が行います。

◎ダヴィンチが開発された背景と歴史

外科手術の歴史を紐解くと、今から約1万年前には頭蓋骨に穴を空ける侵襲的な手術が行われていたことがわかっています。また、青銅器時代には外科手術に使用する器具が大幅に改良されたことがうかがえます。1847年に麻酔が導入されたことにより、外科手術は新たな時代を迎えます。手術の領域は表層部だけでなく、肉体のさらに奥の方へと広がったのです。しかし、それによって感染症という新たな問題も発生しました。無菌学や滅菌学が広まるまで、外科手術の際の主な死因は感染症だったといいます。つまり外科技術の進歩には道具や薬、環境の進歩も欠かせなかったのです。手術中の痛みもなく、手術野を無菌にすることができるようになると、今度は傷口をいかに小さくし、回復を早くすることができるかが求められるようになります。通常、健康な人は手術を必要としません。不健康な人が手術を受けるのであって、そこから回復するのに非常に苦労を要するのです。小さな切開から細長い棒状の道具を差し込んで行う腹腔鏡手術はその点で大きな革命をもたらしましたが、長い道具を体の中心から外れたところで作業する技術の習得は大変難しいものでした。まず、外科医は3次元視野を諦めなくてはなりませんでした。また、体内の道具は直線的に動くため、縫う作業など複雑な手技の習得が困難です。そこで、外科医の手の機能を道具の先端につける必要ができたのです。ダヴィンチは手術者と道具の先端の動きがシンクロするため、腹腔鏡手術とは対照的に、直感的な使い方が可能となったのです。

◎ダヴィンチの機能

ダヴィンチは前述してきたように、ロボット本体、コンソール(操作台)、モニタの3つで構成されています。これをダヴィンチの器具名に置き換えていうと、ロボット本体をペイシェントカート、操作台となるコンソールをサージョンコンソール、モニタの役目する器具をビジョンカートといいます。それでは、それぞれの機能を詳しく解説していきます。

ペイシェントカートは実際に患者の体内に挿入される内視鏡カメラや鉗子が取り付けられたアームからなります。術者の手の動きを正確かつ緻密に反映させ、医師の手の代わりとなって手術を行っていきます。操作を行うのは医師ですが、その再現をしてくれるのがペイシェントカートになります。

サージョンコンソールは、ペイシェントカートを操作する操作台となり、ステレオビューワに3Dで映し出される患者の術野の拡大映像を確認しながら、手元のマスターコントローラで操作していきます。体内にある3本の鉗子や内視鏡をフットペダルで切り替えながら操作を行います。

ビジョンカートは術中の視野の映像を最適にするための処理装置です。以下3つの機能が装備されています。一つめは、カメラコントロールユニット(CCU)。カメラから送られてくる画像を反映させ、サージョンコンソールの術者に3D画像を送ります。2つめに、フォーカスコントローラ。内視鏡レンズのピント調節と画質をシャープにする機能です。そしてもう一つ、本体から光ファイバーのケーブルを通して内視鏡に術野を照らす光を送る装置、イルミネータです。ビジョンカートの上部にあるモニタは、術者が見ているのと同じ映像を術者以外の医師や看護師が見ることができるだけでなく、画像に指で線や印などをつけられる、タッチスクリーンの機能もあり、術者に視覚的なサポートをすることもできます。モニタ上部にはマイクもついており、サージョンコンソールにいる術者と音声でコミュニケーションをとることもできます。

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ダヴィンチでできる手術と症例数

現在、ダヴィンチによる手術を導入しているのは泌尿器科、消化器科、婦人科、胸部外科です。現在保険で手術できるのは前立腺がんの手術だけですが、腎臓がん、子宮がんや子宮脱をはじめとする様々な切除・摘出、修復手術で導入されています。なお腎臓がんの手術が新たに保険適応となりました。

◎症例数

2014米国 2014年日本 2015年日本Q1-3
泌尿器科 91000 8780 18709
消化器科 107000 626 1548
婦人科 235000 202 617
胸部外科 不明 129 365
449000 9737 21239

出典:日本ロボット外科学会 da Vinciの手術件数2015年9月末現在

アメリカの症例数にはまだまだ及びませんが、日本国内の診療科別症例数は2014年から2015年にかけて約2~3倍と大きな伸びを見せています。

保険適用について

ダヴィンチの保険適用は現段階では前立腺がんの手術だけとなっています。あらたに今春から腎臓がんの手術が保険に適応されることになりました。腹腔鏡手術はダヴィンチですとより安全に、より手術時間が短く、より効果的にできますので、今後の保険適用の拡大が待ち望まれます。

ロボット手術後の感想

ダヴィンチ手術では、腹腔鏡手術のように小さな切開で済み、開腹手術のような術野の確保が可能です。腹腔鏡手術に比べて、より細やかな手術ができ、患部の出血や外傷も最小限で済むため、術後の回復が早いのが特徴です。また、性機能の温存や感染症のリスク低下も期待できます。ロボット支援手術を経験した患者さんの生の声をお届けします。

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ダヴィンチ手術で、前立腺がんの手術は大きく変わりました。
手術後の痛みが少なく、出血もきわめて少量で、懸案であった尿の漏れも少なく、初期であれば勃起機能も温存できます。退院後すぐに社会復帰でき、また従来高齢者では困難とされていた手術でしたが、80歳を超えても安全に根治できるようになったのです。


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