前立腺がん治療を受けておられる方、治療が終わった方への情報サイト

前立腺がんと遺伝の関係・遺伝子検査解説


前立腺がんになりやすい人の要因はいくつかあります。そのなかでも有力とされているのが遺伝による影響です。これらの因果関係や、早期発見のために行われる遺伝子検査について解説します。

遺伝子

前立腺がんと遺伝の関係

前立腺がんも他のがんと同じように、遺伝的要因によるものが大きいと考えられています。そもそも、がんというのはがん抑制遺伝子の異常によって生まれます。がん抑制遺伝子は、体の細胞ががんになるのを抑制する働きを持っています。さらに細かくいうと、がん抑制遺伝子も他の遺伝子と同様に、一つひとつの細胞に、父親由来のものと母親由来のものと、あわせて2個ずつ入っており、細胞ががん化するのを抑えるストッパーとして機能しています。2つあるストッパーのうち、何らかの事情で片方が機能しなくても、もう一方のストッパーが機能していれば、その細胞はがんにはなりません。しかし、両方とも壊れてしまうと、細胞はがん化に向けてストッパーがない状態になり暴走してしまいます。これが一般的な人ががんになる仕組みの一つの流れです。ところが遺伝性腫瘍の患者さんの場合、がん抑制遺伝子のうちの片方に変異(異常)があり、生まれつき、ストッパーが1個しかない状態で人生をスタートしているのです。よって、一般の人よりもがんになりやすいと考えられているのです。

遺伝子検査とは

遺伝子とは、A・T・G・Cという4文字のアルファベットに相当するDNA塩基が数千~数万個にわたって連なった物質のことをいいます。遺伝子検査では遺伝子を構成するDNA塩基のアルファベットの順番を調べます。体のすべての細胞は共通の遺伝子構成を持っているため、体のどの部分の細胞を使用することも可能ですが、一般的には血液を使用することが多いです。米国において、前立腺がんの危険因子のうち、重要であるとされているのは年齢、人種、家族歴です。家族歴とは、家族や血縁者に関する病気の履歴のことで、この場合、家族や血縁者に前立腺がんを発症した人がいるかどうかという意味です。乳がんや結腸がんと同様、またはそれ以上に、前立腺がんの発症には遺伝的要因の関わりが強いことが明らかになってきています。可能性のある前立腺がんリスク修飾因子について、一部の研究者はアンドロゲンの生合成および代謝における遺伝的多様性の潜在的な役割について注目しており、前立腺がんの発生にアンドロゲンとアンドロゲン受容体(AR)が重要な役割を担っていることが推察されます。AR遺伝子のCAGリピートが短いほど前立腺がん発症のリスクも高いといわれています。このように前立腺がん発症のリスク要因を高めるものとしては、これまで世界で100個以上の遺伝子多型が発見されています。遺伝子検査では日本人の前立腺がんと関連が証明された16個の多型を識別してリスクを評価します。

遺伝子検査で分かること

遺伝子検査では画像診断や内視鏡検査などでは確認できない微細ながん細胞に関しても、血液中から検出されるDNA・RNAなどを解析し、目に見えないがんリスクを顕在化します。

発症の予防

前立腺がんの発症リスクを評価することで、予防の対策を講じることができます。また他の検査と組み合わせることで、より診断の精度を向上させることが期待できます。その結果、不必要な前立腺針生検を回避することも可能になります。

がん遺伝子の特徴

既に前立腺がんと診断された患者さんの遺伝子を徹底的に調べることで、小さながんであっても命にかかわる悪性度の高い細胞を含むがん遺伝子には特徴があることがわかってきました。前立腺がんについては手術をせずに経過観察をする選択肢を推奨する動きもありますが、遺伝子を調べることで悪性度が分かるようになれば、今後より確かな治療法の選択が可能になります。

早期発見にPSA検査

遺伝子検査同様、早期発見にPSA検査が役立てられることもあります。PSAとは前立腺でつくられるタンパク質のことで、血液中の数値を測るのがPSA検査です。前立腺がん患者は血液中のPSAの数値が高いこと、また治療を行うとPSA値が下がること、病気が進行するとPSA値が上がることから、前立腺がんの腫瘍マーカーとして使われるようになりました。
>詳しくはこちら「前立腺がん検査の「PSA」とは

PSA検査の手順

PSA検査は採血によって行われます。定期的にPSA検査を受けるには人間ドックや自治体の健康診断などでオプションとして追加するのがおすすめです。また、忙しくて病院に行く時間がないという人には郵送キットでの検査もあります。PSA検査は採血さえできる医療機関であればいいので、風邪をひいて病院を訪れた際にあわせて受検することも可能です。健康な人のPSAは60歳未満なら2.5ng/ml以下、60歳以上65歳未満なら3ng/ml以下、65歳以上で4ng/ml以下で、それぞれの数値を超えると前立腺がんの疑いがあり、精密検査の対象となります。

前立腺がんの遺伝リスクが平均より高いからといって必ず発症するわけではありませんし、PSA値が基準値以下だからといって発症の可能性が全くないわけではありません。しかし、全体的なリスクを推測するうえで、遺伝リスクを考慮し、より正確なものに近づけることは重要です。そして、前立腺がんのリスクが平均より高い人や他にもリスク要因のある人が、予防策を講じたり、より頻繁にスクリーンテストを受けることで早期発見をすることに繋げていくことが肝心なのです。


クルクミン