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前立腺がんに多い「潜在がん」とは


潜在がんとは、他の疾病で死亡した際の解剖で発見されるがんで、症状がなく進行が比較的遅く死因にならないがんのこと。前立腺がんはその潜在がんが多いといわれています。詳しく解説していきます。

cancer

潜在がんの特徴

潜在がんとは、生前はがんの兆候が認められず、他の疾病による死後の解剖で初めて発見される、ごく小さながんのことです。症状がなく進行が比較的遅く死因にならないのが特徴で、前立腺がんは特に潜在がんが多いといわれています。加齢に伴い前立腺がんの潜在がんは増加し、50歳以上ではおよそ4人に1人の割合で確認されるというデータが報告されています。

前立腺がんの潜在がん保有率

潜在がん保有率を調べた研究では、40歳代では6.7%と15人に1人の割合であるのに対し、80歳以上では50%、すなわち2人に1人に潜在がんが認められ、加齢とともに発生率も増加していました。

◎PSA検査と潜在がんの発見

上記の症例数からもわかるように、50歳代以上は前立腺がんの保有率が高まるので、人間ドックや健康診断の際に、PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーの血液検査を勧められることが多くなります。簡単な検査で前立腺がんを早期発見できるPSA検査ですが、悪性の前立腺がん以外に、前立腺肥大症やその他の要因でも値が上昇します。潜在がんの保有率を考えれば、他の要因でPSA値が高くなっていたとしても、その後の針生検で、たまたま潜在がんが見つかることも考えられます。寿命に影響しない潜在がんを発見する頻度が高くなる可能性が問題視されており、過剰診断の一因になっていると指摘する声もあります。そういうケースも念頭において、様々な要素を総合的に検討した上で治療方針を決めることが大切です。

潜在がんの進行リスクについて

前立腺がんは進行に差があるので、低リスクがんだからといって一概に「治療はしなくてよい」とはいえません。最近では無治療経過観察療法を選択する方が増えてきていますが、患者さんによっては、進行のリスクと前立腺摘出による後遺症リスクとを天秤にかけて悩むこともあると思います。手術によりがんを摘出すれば完治も可能ですが、後遺症が残ると手術前よりもQOLの低下を招いてしまうことも考えられます。ご自身の年齢やパートナーの希望も含めて、納得できるまで医師と相談することが大切で、セカンドオピニオンやサードオピニオンなど多くの意見を聞くべきです。

がんには命を奪わない「いいがん」と命を奪う「悪いがん」があり、前立腺がんには潜在がんのように「いいがん」もあります。しかし、すべての前立腺がんが「いいがん」ではなく、また40歳で見つかった「いいがん」が、その後も「いいがん」であり続ける保証はないのです。がんの組織をよく観察すると、中身が均一でなく、ひとつのがんの中にも「いいがん」と「悪いがん」が混在していることがわかってきました。がんの悪性度を判定するグリーソンスコアの算出で、複数個所から細胞を採って平均を出すのもそのためです。

グリーソン分類

わかりやすい例えとして、田舎の学校を思い描いてください。生徒数が少なく、皆、純粋な生徒たちのクラスがあるとします。ところが近くに工業団地が誘致され、周辺の人口が急増するにつれ、生徒の数も増えていきます。増えた生徒の中から不良が出てくると、不良は不良同士でつるみ、徐々に数を増やしていき、いつしかクラス全体の風紀も悪くなります。そうなると学級崩壊、さらには学校崩壊へと進んでいってしまう最悪のシナリオが出来上がります。最初の田舎の学校のクラスは早期がん、純粋な子供たちは「いいがん」、近くに誘致された工業団地が、脂肪の多い食事などの生活様式です。「いいがん」が増えるだけなら問題はないのですが、不良である「悪いがん」が増えると、純粋な生徒まで不良になってしまい、「転移」という学級崩壊が起こり、学校崩壊=「死」を招いてしまうのです。

がんは遺伝子の異常が引き起こす病気といわれています。本来、若い人は体の免疫力や遺伝子の修復力が高いので、そうした異常に対抗できるようになっています。にもかかわらず成長したがんは、非常に強力な異常を持っていると考えられます。若い人の場合は「進行リスク>後遺症リスク」と考えて治療する方がいいかもしれません。

◎後遺症リスクの低下に期待

気になる後遺症のリスクについては、手術支援ロボット・ダヴィンチの登場により、術後の尿漏れやEDの後遺症リスク低下に期待が寄せられています。他の術式と比べて、術中の出血が少なく、傷口も小さいため、術後の痛みも少ないというメリットがあります。回復も早いため、早期の職場復帰を求められる若年齢層の患者さんにも適しているといえます。


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