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リュープリンについて~ジェネリックはどうなるか~


前立腺がんの注射治療薬「リュープリン」。特許は既に切れ、ジェネリックが出ても依然として多く使われています。改良を重ねてますます使いやすくなっているリュープリンと、後発のジェネリックはどうなるのでしょうか。

Doctor holding syringe ready for injection

リュープリンとは

前立腺がん治療の注射薬として、ホルモン治療で用いられるのがリュープリンです。ホルモン療法には、脳の下垂体に働きかけ精巣から男性ホルモンが分泌されるのを抑制する方法と、抗男性ホルモン薬を内服して、男性ホルモンが前立腺の細胞に働きかけるのをブロックする、2つの方法があります。リュープリンは黄体形成ホルモン放出ホルモン誘導体の注射用製剤です。皮下注射によって主成分の酢酸リュープロレリンが脳下垂体に働きかけ、精巣から男性ホルモンが分泌されるのを抑えます。1985年に武田薬品から発売され、薬効成分の体内輸送を工夫した「薬物送達システム(ドラッグ・デリバリー・システム:DDS)」技術を使った薬の先駆け的存在ですが、基本特許が切れて約20年が経とうとする今も、後発薬の追随を許さず、現在も改良が続けられています。

◎効き目が6ヵ月継続する

1985年にアメリカで発売された当初は1日1回製剤でしたが、89年には1ヵ月製剤を開発、実用化し(日本発売は92年)、96年には3ヵ月製剤へと改良を進め、患者さんや医療関係者のニーズに応じてきました。98年には日本での基本特許切れ、2007年には日本での1ヵ月製剤の特許切れを迎えますが、新たに2015年12月に6ヵ月製剤を発売します。ヨーロッパでは2007年に発売されていたので、ホルモン治療患者にとっては待望の薬の登場といえます。医療費を抑えるために後発薬(ジェネリック)に置き換える時代の流れの中でも、リュープリンは多くの患者さんからの支持を集めています。

なぜリュープリンは使われ続けているのか

リュープリン自体の進化は先に述べた通りですが、他のジェネリックと比べての優位性についてはどのようなメリットがあるのでしょうか。リュープリンの後発薬にはニプロやあすか製薬から1ヵ月製剤と3ヵ月製剤が発売されていますが、6ヵ月製剤においては競合が存在しません。また、価格面においても6ヵ月製剤は1本10万円超と高価ではありますが、ジェネリックの製品を6ヵ月で6本、6ヵ月で2本使用するのに比べると割安になっています。1ヵ月製剤と3ヵ月製剤の後発薬が発売されても、最大6ヵ月に1度の注射で済む負担の軽さ、小柄な日本人でも使いやすい製剤量、注射器の小型化は患者さんのQOLにおいて大きなメリットであると同時に、長期的な治療の経済面でも大きなメリットであるといえるでしょう。

◎ジェネリックとの比較

薬剤名(商品名) 先発/後発 メーカー 価格
リュープリン注射用キット3.75mg 先発品 武田薬品 37,777円
リュープロレリン酢酸塩注射用キット3.75mg「NP」 後発品 ニプロ 26,642円
リュープロレリン酢酸塩注射用キット3.75mg「あすか」 後発品 あすか製薬 26,642円
ゾラデックスLA10.8mgデポ 先発品 アストラゼネカ 62,889円
リュープリンSR注射用キット11.25mg 先発品 武田薬品 66,891円
リュープリンPRO注射用キット22.5mg 先発品 武田薬品 105,039円

◎使い方

通常、50kg以上の成人に対し、3.75mgは4週に1回、10.8mgと11.25gは12週に1回、22.5mgは24週に1回皮下に投与します。投与に際し、リュープリンとその後発品は、注射針を上に向けてプランジャーロッドを押しながら、懸濁用液の全量を粉末部へ移動させます。この時泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用います。

◎副作用

国内臨床試験において、副作用(臨床検査値の異常を含む)が検証されています。リュープロレリン酢酸塩(22.5mg)が投与された81例のうち45例(55.6%)が、副作用としてあげられているのです。主な副作用として、注射部位硬結17.3%(14/81例)、注射部位紅斑13.6%(11/81例)、注射部位疼痛6.2%(5/81例)、糖尿病6.2%(5/81例)、ほてり6.2%(5/81例)等が報告されています。重大な副作用として、ごくまれにうつ状態(0.1%未満)があらわれることがあります。また、下垂体-性腺系刺激作用による血清テストステロンの濃度の上昇に伴い、骨疼痛の一過性増悪、尿路閉塞あるいは脊髄圧迫(5%以上)がみられることがあります。こういった場合には、対症療法等の適切な処置を行いましょう。心不全の症状があらわれることもあるので、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行いましょう。

参照元
http://www.takeda.co.jp/news/2015/20151215_7246.html
https://medley.life/medicine/item/2499407G1054/generic
http://juntendo-urology.jp/treatment/pharmacotherapy/

今後のホルモン治療薬はどうなっていくか

今後のホルモン治療薬の動きについては、増加する前立腺患者という状況を考えると、後発薬の普及や、より患者さんのニーズに応えることができる新薬の開発に期待がかかります。一方で近年の大きな流れとして製薬業界では、企業の合資や合併の動きが見受けられます。リュープリンを販売する武田薬品では、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(イスラエル)との合弁会社に一部の特許切れの薬を移管すると発表していますが、リュープリンは対象外です。2015年に6ヵ月製剤リュープリンPROを販売したばかりということもあり、まだまだ後発薬に対するリードは大きい状態です。

高齢で放射線治療や手術療法ができない場合、ホルモン治療が有効手段となります。患者さんの立場で考えると、価格が抑えられたジェネリックがないことは、経済的な負担が大きい印象が拭えません。ですが、リュープリンPROのように日本人の患者さんのニーズに合わせて改良を重ね、価格面においてもジェネリックに引けをとらない治療薬もあります。治療のペースや副作用によるQOLの低下のリスクなども主治医に相談して、患者さんに合った治療法を選択することが大切です。


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