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前立腺がんPSA監視療法とは


PSA監視療法とは「何もしない」治療法です。がんと診断されたのにPSAの定期的な検査だけで治療しなくていいと言われて不安になる方も多いのではないかと思います。このような監視療法が選ばれる背景と、他の選択肢についてご説明しましょう。

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PSA監視療法とは

前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値を定期的に測定し、1~2年ごとに生検を行いながら、がんが進行・悪化したと判断されるまで治療を行わない待機療法のことで、別名、監視的待機療法、無治療経過観察などとも呼ばれています。

◎どれくらいの頻度でPSA検査を行うの?

PSA値にもよりますが、だいたい3ヶ月に1回程度、数値の変動が見られた場合1ヶ月後に再検査を行います。PSA値は1回だけの値でなく、連続的、定期的な数値の変化で捉えることが重要です。

PSA監視療法が選ばれる状態とは

前立腺がんでは、PSA値、グリーソン・スコア、がんのひろがり(病期)により、がん死亡の危険度(リスク)が3段階に分類されています。

危険度(リスク)分類

低リスク前立腺がんは、PSA<10 ng/ml かつT1c-T2a かつ グリーソンスコアが6以下 が基本です。
最近ではMRI所見や生検でがんが出たコアの本数も考慮されます。

◎進行の遅い「いいがん」の場合は無治療でも余命が変わらない

リスク分類において「低リスク」と診断された前立腺がんにおいては、すぐに治療をしなくても結果として前立腺がんによる死亡率が変わらなかったという北欧の研究報告があります。つまり、低リスクの前立腺がんは当面は命にかかわらない場合が多いということなのです。そこでしばらくは治療をしないPSA監視療法が用いられるようになったのです。PSA監視療法を選択できるかどうかは、PSAの値、グリーソンスコアと呼ばれるがんの悪性度、生検の陽性本数、病期などの結果を総合して判断します。

◎どうして「低リスク」だと監視療法が選ばれるの?

手術や放射線治療、ホルモン療法において、副作用や後遺症はゼロではありません。たとえば性機能が十分ある場合には、治療後の勃起不全(ED)により、人生の質が下がってしまいます。またほかの病気の治療に忙しいこともあります。比較的、ゆるやかな進行である、低リスク前立腺がんの場合、特に高齢の方では、治療による合併症がなく、患者さんのQOL(生活の質)が維持できる監視療法の利点は大きいといえます。

◎絶対に「ゆるやかな進行」なの?

比較的ゆるやかとされる前立腺がんの進行ですが、突然進行・悪化する例があります。また、自覚症状は無くても進行していることがあります。従って、監視療法といっても、ただ治療を行わないということではなく、患者さんは定期的なPSA検査と1年~3年に1回の生検が欠かせないのです。わが国の研究では監視療法をはじめた165名が、約6年後も監視療法を継続していた人は35人(21%)であったという研究があります。このうち101名(61%)の方は、がんの進行・悪化が見られました。したがってPSA監視療法は一時的なものと考えておいた方が良いでしょう。

低リスクがんでも根治した方が安心だという方に

PSA監視療法には治療による合併症がないという最大のメリットがありますが、その他にも良い点・悪い点があるので、ご紹介しましょう。

【良い点】
  • 生活を変える必要がない
  • ゆっくりと、治療法や人生設計、医師や病院を考えることができる
  • 医師との信頼関係を築ける
  • 医療や薬剤の進歩を待てる
  • 医療費の抑制ができる
【悪い点】
  • PSAの動きに過敏になる(PSAノイローゼ)
  • 症状がないため、根治療法に対しての意識が薄れる
  • 定期的な採血と生検の負担
  • がんの進行への不安
  • 近年採用された治療法のため長期的成績が不十分である

楽観的な性格の方には非常に合うPSA監視療法ですが、定期的にPSA値を検査し、結果を見るまで不安な日々を過ごすことに、かえってストレスを感じる方もいらっしゃるのではないかと思います。低リスクがんであっても手術による摘出での根治を目指す方もいらっしゃいます。

手術の方法はいくつかありますが、大きく分けて、開放手術と腹腔鏡手術、ロボット支援手術があります。近年では「ダヴィンチ」と呼ばれる手術支援ロボットを用いたダヴィンチ手術の登場により、射精以外の性機能を温存した摘出手術も行われるなど、手術の精度は格段に高まりました。

悩んだときはセカンドオピニオンを

前立腺がんは、進行度や悪性度によって治療法が変わります。悪性度が低く、命を脅かさない「いいがん」であれば、急いで手術をしたり薬物治療をすることはありません。命をすぐには脅かさないがんを治療することで、かえって排尿トラブルや性機能障害などの後遺症・副作用によって以前よりQOL(生活の質)を悪化させてしまう恐れもあるのです。自身のライフスタイルや価値観も大切に、主治医やパートナーとよく相談して治療方法を選択することが重要です。治療の方法に不安や迷いがあるのであれば、セカンドオピニオンも積極的に受けるとよいでしょう。


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