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前立腺肥大との違い


前立腺がんと前立腺肥大症は、症状に共通点が多く、どちらであるかの診断はPSA検査だけではできません。MRI検査・生検検査で正確に判断することになります。詳しく解説していきます。

前立線肥大と前立腺がんの違い

前立腺肥大症とは

前立腺がんと違い、前立腺肥大症はあくまで良性の病気であり、命にかかわることはありません。前立腺は通常、クルミ位の大きさだと言われていますが、前立腺肥大症になると、玉子やミカンくらいの大きさになると言われています。

前立腺がん 前立腺肥大症
 発生部位 主に前立腺の辺縁領域 前立腺の移行領域
 病理像 悪性腫瘍 良性
発生因子 ホルモン依存性 有り 無し
年齢 高齢者 高齢者
環境因子 食生活、生活様式などに関係する。
国および人種によって発生率に差が生じる。
食生活や生活様式との関連性は
それほど強くない。
 主な症状 初期:無症状排尿トラブル、膀胱刺激症状
進行期:血尿、腰痛、骨折
初期:排尿トラブル、膀胱刺激症状進行期:残尿、閉尿
 転移の有無 有り 無し
 病後の経過 人にとってさまざま よい

前立腺肥大症も前立腺がん同様、前立腺が大きくなることによって尿道が圧迫され、排尿トラブルを引き起こしますが、基本的に命にかかわることはありません。前立腺の外側は被膜に包まれており、膜の内側に前立腺液を分泌する腺などが存在します。構造的には、尿道の周囲に移行域(内腺)、外側にある辺縁域(外腺)と、中心部にある中心域に分かれており、内腺と外腺は主に腺細胞、中心域は主に筋肉細胞で構成されています。症状に共通点はありますが、前立腺がんの場合は尿道から遠い外腺で発症し、前立腺肥大症は尿道に近い内腺で発症するため、症状の現れる時期が全く異なります。前立腺肥大症も前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA検査で高い数値が出ることがありますが、他の検査をすることで鑑別可能です。尿トラブルとしては、就寝後にトイレにたびたび起きてしまう夜間頻尿が特徴的ですが、前立腺がさらに大きくなると、膀胱にたまった尿を排出できず残尿感を感じたり、尿道が完全にふさがり急に尿が出なくなることがあります。日常生活に支障が出るようなら、一度泌尿器科を受診してください。適切な治療によって、症状のコントロールができます。

前立腺肥大症の症状と治療

前立腺肥大症にもステージ(病期)があり、それに合わせて治療を選択していくことになります。3段階に分かれるステージごとの主な症状と、治療法についてまとめました。

◎第1期(刺激症状期)

  • 尿が出にくい、尿の勢いが弱い、尿線が細い、尿が途切れる、排尿に時間がかかる
  • 排尿回数が増える、夜間に排尿回数が増える
  • 急に尿意が起こり、トイレに間に合わない感じがする
  • 下腹部に不快感や圧迫感がある

症状が軽い場合や合併症がない前立腺肥大症は、定期的な経過観察を行います。保存治療と呼ばれ、生活習慣の指導や、健康食品による改善を目指します。水分の摂りすぎやコーヒー、アルコールの摂取を控え、刺激性食物の制限、便通の調整、適度な運動、長時間の座位や下半身の冷えを避けるなど、生活する上でのちょっとした心がけが、前立腺肥大症の症状緩和に役立ちます。

◎第2期(残尿発生期)

  • 第1期の症状である排尿困難、頻尿、尿意切迫感が悪化する
  • 排尿後も尿が残っている感じがする
  • 尿路感染症が起こりやすい
  • 排尿時にいきまなければならない
  • 急に尿が出なくなる

前立腺肥大症が尿の通過障害を引き起こすのには、主に2つの理由が考えられます。ひとつは、前立腺の収縮による尿道の圧迫、もうひとつは、収縮とは関係なく、大きくなった前立腺が物理的に尿道を圧迫しているということです。よって、2種類の薬物が広く用いられています。前立腺の収縮を弛緩させるための内服薬は、α1受容体遮断薬といい、前立腺肥大症に伴う排尿困難の薬として現在最も多く使われている内服薬です。α1受容体遮断薬は排尿困難だけでなく、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感などの蓄尿症状の改善にも有効であるとされています。即効性があり、継続投与による長期的な改善効果も期待できますが、白内障の手術に影響することがあるので、眼科の医師に服用を伝えることが必要です。男性ホルモンが前立腺組織に作用するのを抑える作用を持つ5α還元酵素阻害薬や抗アンドロゲン薬は、肥大した前立腺を縮小させ、排尿困難の症状を改善する働きがあります。α1受容体遮断薬とは異なり即効性はありませんので、長期間の内服が必要です。この薬は血液中のPSAの値を低下させるため、投与前、投与中はPSA値の測定と併せて、前立腺がんを見逃さないよう、注意が必要です。

◎第3期(慢性不完全尿閉期)

  • 残尿が多くなる
  • 強くいきまないと尿が出ない
  • 尿に近い状態が慢性的に続く
  • 尿がチョロチョロと少しずつ漏れる

薬物治療を行っても、症状の改善がみられない場合や、慢性的に症状が繰り返す場合、あるいは合併症がみられる場合は、手術による治療が行われます。100gを超えるような巨大な前立腺肥大の場合(通常は50g程度)には、開腹手術によって前立腺を摘出することも考えられますが、一般的には、尿道から内視鏡を挿入する手術が行われます。

前立腺肥大症から前立腺がんになることはあるの?

前立腺がんと前立腺肥大症は全く別の病気であり、前立腺肥大症が進行して前立腺がんになるということはありません。ただし、前立腺肥大症と前立腺がんを一緒に発症しているということはありえますので、PSA検査や直腸診を受けて、前立腺がんの心配がないかどうかを確認しておきましょう。前立腺肥大症で受診した際に早期の前立腺がんが偶然見つかって、早期治療により根治できたという例も少なくありません。


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