前立腺がん治療を受けておられる方、治療が終わった方への情報サイト

放射線治療・ホルモン療法後にPSA値が上昇したときの選択肢とは


放射線治療は、前立腺を切除するわけではないので、術後もずっとPSAの監視が必要になります。治療後に徐々にPSA値が上がってきたというご相談も多く、治療の選択に悩まれる方もいらっしゃるでしょう。放射線治療後にPSAが上がってきた際の治療法・選択肢について解説します。

Line graph and magnifying glass.

■放射線治療での「根治」について

限局性前立腺がんの根治療法には、大きく分けて手術療法と放射線治療の2つがあります。特に近年、放射線治療は技術が進歩して、従来の外照射以外に加え、コンピュータ制御でがんにだけ放射線を強く照射する強度変調放射線療法(IMRT)や、小型のカプセルを前立腺に埋め込み、体内から放射線を照射する密封小線源療法(ブラキセラピー)などが用いられるようになってきました。手術療法と放射線治療のどちらも根治が期待できるようになってきてはいますが、合併症の出方や、治療期間の違いなどで、どちらを選べばよいか悩む人は少なくありません。がんが発見される以前から前立腺肥大症で排尿トラブルがある人は、要注意です。放射線治療によって前立腺が腫れ、排尿困難症状が悪化する可能性も高く、全摘手術より不確実だと考えられる場合もあります。

■ホルモン療法のリスクについて

放射線療法ではホルモン療法を併用する場合があります。ホルモン療法は根治を目指す治療ではなく、進行の抑制が主な目的となります。また投与を続けることで抵抗性が出て、効き目が弱くなってくることなどから、PSAの監視と併せて治療を行っていくことが重要です。また、性機能障害や顔面の紅潮、異常な発汗やほてりなど、副作用についても様々な症状があります。

■放射線治療・ホルモン療法後にPSA値が上昇したら?

放射線治療と併用してホルモン療法を行っている場合、PSA定期監視で数値が上がってきたといっても、それだけでがんが「再発」「進行」したとはいえません。ですが、さすがに連続して上昇すると「再発」「進行」の可能性が考えられるため、MRIやCTなどの画像診断は必須となります。

Fotolia_87261397_XS

◎治療を選ぶ前に・・・

ではMRIやCTなどの画像診断で「再発」「進行」が認められた場合、次の治療はどのようにして決めていけばよいのでしょうか。大前提として、がんの悪性度(グリーソンスコア)を調べてから、次の放射線治療・ホルモン療法を選んでいくことが重要です。なお、「再発」「進行」の場合、グリーソンスコアは高くなるのが一般的です。そして、悪性度が高いがんは進行具合が速いことも覚えておかなくてはいけません。

【1】PSAにおける「再発」「進行」の判断基準
一般的に、定期監視において3点連続してPSA値が上昇している場合、「再発」「進行」の可能性が指摘されます。
【2】MRI/CTでの検査
PSA値の連続上昇により「再発」「進行」の可能性が疑われる場合、MRIで前立腺内の再発を検査します。腹部はCT検査になります。PSA値の上昇だけだと、再発ではなく他に要因がある可能性もありますが、画像診断の結果となると、再発の証拠としての重みが違ってきます。
【3】再度生体検査
画像診断で「再発」「進行」が確認されると、再度針生検を行います。一般的に、グリーソンスコアは再発では高くなる傾向が強いといわれています。また、転移の場合は確実にグリーソンスコアが高くなります。
【4】強いホルモン療法
次の治療法を検討する際、注意すべきは既にホルモン療法(内分泌療法)を行っていたかどうかです。ホルモン療法をしていなければホルモン療法を開始します。既にホルモン療法による治療中であれば、「再発」「進行」がんは去勢抵抗性前立腺がんになるため、新規のアンドロゲン受容体阻害薬(エンザルタミド:イクスタンジ)、あるいは代謝阻害薬(アビラテロン:ザイティガ)といった強いホルモン療法、または抗がん剤へと治療法を移行することになります。
【5】抗がん剤治療
去勢抵抗性前立腺がんで、新規のアンドロゲン受容体阻害薬(エンザルタミド:イクスタンジ)、あるいは代謝阻害薬(アビラテロン:ザイティガ)といった強いホルモン療法でも効果がみられない場合は、ドセタキセルといった抗がん剤を治療に用いることになります。

「再発」「進行」時の治療法選択において覚えておかなければいけないのは、放射線治療後の再発に手術療法は選択できないということです。誰しも「再発」「進行」は望んではいませんが、最初の治療法を選択するときは、万が一のときのことも考えて、次にどんな選択肢を残しているのかを知っておかなければなりません。

 

手術療法や放射線治療は根治が期待できる治療法ですが、ある程度のかたは再発します。また、ホルモン療法の併用に関しても、導入時期や併用期間は病院によっても、患者さんの病期によっても異なってきます。治療法の選択は治療によって治るかだけでなく、治療中や治療後のQOLや治療期間の長さ、費用面も考慮し、ご自身にとって優先すべきことを見極めることが重要です。担当の先生とじっくり話をしたうえで決定されることをおすすめします。


クルクミン