前立腺がん治療を受けておられる方、治療が終わった方への情報サイト

前立腺がん検査の「PSA」とは


前立腺がんの早期発見に大切なPSA検査。50代からは定期的に受けることをおすすめしています。PSAとはどんなものなのか?検査で何が分かるのか?詳しく解説します。

血液検査イメージ

PSAとは

PSAとは、prostate specific antigenの頭文字を取ったもので、日本語だと前立腺特異抗原といいます。PSAは前立腺で作られるタンパク質で、もともとは精液の産生に関係して、精子が受精しやすくする働きを持っています。一方でタンパク質分解酵素として、前立腺の細胞の中で炎症を起こしたり、がん化を促進するような働きもあります。血液中にも流れ出ていて、健康な人のPSAは60歳未満なら2.5ng/ml以下、60歳以上65歳未満なら3ng/ml以下、65歳以上で4ng/ml以下で、それぞれの数値を超えると前立腺がんの疑いがあり、精密検査の対象となります。前立腺がん患者は血液中のPSAの数値が高いこと、また治療を行うとPSA値が下がること、病気が進行するとPSA値が上がることから、前立腺がんの腫瘍マーカーとして使われるようになりました。

前立腺がんの多いアメリカ・ヨーロッパでは広く行われています

前立腺がん患者の多いアメリカでは国民の三分の一が健康保険がないのにもかかわらず、50歳以上の男性の75%がPSA検査を受けているというデータもあるほど、広く行われている検査です。PSA検査が普及したことで、アメリカ・ヨーロッパでは早期で発見される前立腺がん患者が飛躍的に増加しました。別の見方をすれば、前立腺がん患者数が増えたということでもありますが、発見の時期ということでいえば、転移してから前立腺がんが見つかる人は、今では患者全体の5%程度にまで減ったとのことです。

PSA検診が推奨されない理由

血液だけで分かるのに、どうして健康診断などで取り入れられていないのでしょうか?便利なPSA検査にも弱点があります。それは信頼性です。PSAが高いほど前立腺がんがある可能性が高いことは明らかですが、それだけで必ずがんがあるとは断定できませんし、たとえがんであっても進行の遅い前立腺がんの場合、治療が必要とは限らないからです。もちろんPSA値が基準値を超えていれば生検と呼ばれる精密検査をして、がんが見つかれば手術や薬物療法などの治療が行われるのが一般的です。しかし、前立腺がんの場合はPSA値が高くても、がんが見つからないケースも少なくないのです。またPSA値が高い場合に行う生検(前立腺に針を刺して細胞を採取しがんがあるかどうか調べる検査)の際に出血、炎症などの副作用が生じる可能性もあります。

PSA検査を受ける方法

PSA検査の不利益については先ほど挙げましたが、PSA検査が前立腺がんの早期発見に有効であることもまた明らかです。前立腺がんは、自覚症状がほとんど感じられないため、発見が遅れることが多いがんです。自覚症状が出てからでは他の臓器や骨に転移していることが多いので、定期的な検査が早期発見の近道です。親族に65歳前に前立腺がん経験者がいる場合は、若年で発症するリスクが指摘されていますので、40代で検査をしておくことをおすすめします。定期的にPSA検査を受けるには人間ドックや自治体の健康診断などでオプションとして追加するのが手っ取り早いでしょう。また、忙しくて病院に行く時間がないという人には郵送キットでの検査もあります。PSA検査は採血さえできる医療機関であればいいので、風邪をひいて病院を訪れた際にPSA検査も一緒にするということも可能です。

PSA値の参考例

PSA値の正常値から値が高くなるほど、前立腺がんの見つかる可能性も高くなります。また、前立腺がんが進行している度合いも高くなります。前立腺がんが見つかる確率を表にまとめました。

PSA測定値 前立腺がんを発見する確率 備考
0~2.5ng/ml 60歳未満の正常値 精密検査の必要はありません
0~3ng/ml 60歳~65未満の正常値 精密検査の必要はありません
4~10ng/ml 前立腺がん発見率25%~30% MRI検査を受けましょう
10ng/ml以上 前立腺がん発見率50%~80%
100ng/ml以上 がんと転移が強く疑われる

4~10ng/ml未満は「グレーゾーン」と呼ばれています。ですが、年齢が若い場合は特に危険域にあると考えた方が良さそうです。もし、前立腺がんであった場合、4~10ng/ml未満のうちに治療を開始した方が完治する可能性が高くなります。

PSA値にばらつきがある方に

何度かPSA検査を受け、ばらつきがある方は単に数値だけで一喜一憂してはいけません。PSA検査は前立腺がんの可能性をチェックする上で重要なマーカーですが、あくまでも「前立腺の疑いがある」という指標ですので、それだけで判断することはできません。加えて、もともとPSA値が上がる要因が前立腺がんであること以外にもあることを頭に入れておきましょう。

PSA値が上がる他の要因には以下のものがあります。

前立腺肥大症
前立腺に良性の腫瘍ができ、大きくなる病気です。大きくなるにしたがいPSAの値も上昇します。排尿トラブルなどの症状も前立腺がんが進行したときの症状と似通っています。
前立腺の炎症
細菌などに感染し、前立腺に炎症が起きてしまうと、PSA値が上昇します。
外的な刺激
針生検や手術などの治療で前立腺が傷つけられたり、尿道に器具を入れて検査をしたり、直腸診で前立腺に壁越しに力を加えたときなど、外からの刺激を受けた際にもPSA値は上昇します。
射精
射精をしたときにも、PSA値は上がることがあります。

PSA値は1回だけでなく、連続的、定期的な数値の変化で捉えることが重要です。他の要因によってPSA値が上昇している可能性もありますが、数値がばらついて不安があるようでしたら、PSA検査だけに頼った診断ではなく、MRI検査や直腸診、生検を受けることをおすすめします。


クルクミン