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ダヴィンチ(ロボット支援)手術と腹腔鏡手術の違いを比較表で説明します


前立腺がんの前立腺摘出手術で脚光を浴びているロボット支援手術・ダヴィンチ。従来の腹腔鏡手術との差はどんなところでしょうか?詳しく解説しました。

前立腺がんロボット支援手術:ダヴィンチ

腹腔鏡手術と何が違うのか

腹腔鏡手術とダヴィンチ手術では、大きな違いがあります。
まず、簡単に説明しますと、腹部の正中を切開する開腹手術に比べると、腹腔鏡手術はお腹に小さな穴を数箇所開け、内視鏡で術野を確認しながら挿入した腹腔鏡という棒状の手術器具を操作して行うので、出血が少なく術後の回復が早いことがメリットのひとつに挙げられます。ただし、開腹手術に比べ、医師および助手に高い技術と豊富な経験が求められます。また、挿入している手術器具の自由度が高くないため、前立腺周囲の癒着がある場合、前立腺が小さい場合や大きい場合、肥満が強い場合などに難度が増し、開腹手術よりも手術時間が延長する可能性があります。

ダヴィンチ手術も腹腔鏡手術と同じく、お腹に小さな穴を数箇所開けて行う腹腔鏡下でのロボット支援手術です。「ロボットが手術する」と聞くと、ロボットに手術を任せるというイメージする人もいらっしゃるかもしれませんが、ダヴィンチは手術する医師を支援する機械です。実際は、手術台から離れたところにあるコンソールボックスの中で、医師がモニターの映像を見ながら、両手と両足を使い、遠隔操作で手術をします。手術用ロボットの専門的訓練を受けた、資格のある医師のみが手術を行うことができます。 モニターの映像は高解像度3D画像で、術野を10倍まで拡大でき、手術器具は複数の関節を持つので人間の手指以上の、優れた臨床性能を可能にしました。従来の腹腔鏡手術より、精密かつ繊細な動きが可能になりました。前立腺がんを切除する際に周囲の勃起神経を犠牲にすることは、従来の手術では仕方のないことだとされてきました。しかし、ダヴィンチでは、非常に細かい作業も可能となり、勃起神経を温存した状態で、安全かつ確実にがん組織だけを切除できるようになったのです。

両者の最大の違いは、手技の精度です。ダヴィンチの機器(鉗子)には関節があり、人の手のように曲がりますが、腹腔鏡手術はマジックハンドのように直線的でぎこちなく、曲がりません。また、ダヴィンチには術者の手の震えを除去できる手ぶれ制御機能が付いているうえに、可動域の広さが人の手首以上となっています。つまりダヴィンチは人の手以上に細かく、丁寧に、確実な手術ができますが、普通の腹腔鏡は体の中で曲がらないので、どちらかというと体の組織を引き裂く手術になります。腹腔鏡手術も開腹手術に比べると術後の回復が早いといわれていますが、切り口がきれいなダヴィンチ手術は吻合不全も起こりにくく、より早期の回復が期待できます。

ダヴィンチ(ロボット支援)手術と腹腔鏡(ラパロ)手術の比較

項目 ダヴィンチ 腹腔鏡(ラパロ)手術
手術時間 2~4時間程度 3~6時間程度
入院日数 10日程度 10日程度
費用 3割負担で42~50万円 3割負担で25~30万円
創(傷) 5mm~12mmの穴5~6箇所 5mm~12mmの穴5~6箇所
出血 非常に少ない(200cc以下) 少ない
合併症 少ない
手術後の尿漏れ 少ない 多い
癌の完全摘除率 高い 低い
勃起機能の温存 より可能 困難
難易度 技術習得は難しくない 難しい

ダヴィンチを使った手術の総額は、3割負担の場合で42万円程度です。2012年より保険適用になったとはいえ、コストの面ではまだまだ大きな負担であることに変わりはありません。しかし、「高額療養費制度」により、自己負担は4万4千円から16万円程度となり、開腹手術、腹腔鏡(ラパロ)手術と変わりません(自己負担額は患者さんの条件により違いがあります)。

ダヴィンチ手術の先進国であるアメリカでは、現在1,200台を超えるダヴィンチが導入され、泌尿器科をはじめ婦人科、心臓外科、消化器外科などで積極的に行われています。勃起機能の温存も可能となった前立腺がん手術では、90%以上はロボット支援手術で行われており、年間10万件のロボット支援前立腺全摘手術が施行されています。
日本でのロボット支援手術の歴史は欧米諸国に比べるとまだ浅いのですが、ダヴィンチを導入している施設は大学病院やがん拠点病院を中心に既に200台を超えています。ダヴィンチ手術は前立腺がんのスタンダードな治療になっていくことが期待されています。


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