前立腺がん治療を受けておられる方、治療が終わった方への情報サイト

前立腺がんの骨転移を調べる骨シンチグラフィーとは


前立腺がんは骨に転移しやすいがんです。骨転移は「骨シンチグラフィー」と呼ばれる検査で調べます。

human radiography scan

骨シンチグラフィー(骨シンチ検査)とは

普段はあまりイメージすることがないかもしれませんが、骨は破壊(破骨)と再生(骨芽)を繰り返しながら、常に新しい組織に置き換わっています。骨に病気が発生すると、この骨代謝のバランスが崩れ、骨を作らなかったり、作り過ぎてしまったりという現象が起こります。骨シンチグラフィーは、骨を破壊する状態または、骨を造成する状態にある部分を特定する放射性同位元素(RI)を投与して、特殊なカメラで撮影することで、X線検査ではわかりにくい骨の代謝状況を調べることができる検査です。前立腺がんの他、泌尿器科領域では、腎臓がん、膀胱がんなどの悪性腫瘍の骨転移の有無や広がりの把握に行われています。

◎検査方法

検査は、まず骨スキャン剤を静脈注射し、薬が全身に浸透する3時間半~4時間後にガンマカメラによる撮影を行います。撮影は装置の診察台に仰向けに寝ている状態で行います。カメラがゆっくり移動して全身を撮影しますので、リラックスした状態で動かずにいてください。小さな咳をする程度のわずかな動きであれば、特に問題ありません。検査状況により撮影時間は変動しますが、所要時間は注射に数分程度、撮影が30~50分程度となっています。検査結果は、当日または後日に担当医から説明があります。

◎注意点

検査の申し込みをする前に、他の検査予定を確認しましょう。骨密度測定を予定している場合は、骨シンチグラフィーの前か、1週間ほど空けて行うようにしてください。また、ヨード造影剤を用いたCT検査をされる場合も、画質の低下の恐れがあるため、骨シンチグラフィーとは別の日に検査を行うのがよいでしょう。なお、検査に使う薬剤は検査当日しか使えないため、直前のキャンセルはできません。何らかの事情で検査を受けられない場合は、わかり次第すぐに連絡をしましょう。ガンマカメラでの撮影は完全な閉所ではありませんが、閉所恐怖症の方は事前に申し出ればカメラと本人の間を広くとってもらうことができます。

骨転移を疑う症状とは?

骨に転移すると、背中や腰に痛みや痺れなどの症状が現れたり、骨がもろくなるため、骨折が起ここりやすくなったりします。また「高カルシウム血症」といって、骨のカルシウムが血液に流れ出すことで、血中のカルシウム濃度が高くなり、便秘、吐き気、食欲不振、嘔吐、疲労などのさまざまな症状が現れます。このような症状がある方は医師に伝え、骨転移の検査を検討しましょう。通常、骨シンチグラフィ―で骨転移の有無や状態を調べますが、骨シンチグラフィ―やX線検査により骨転移の場所が分かった場合、さらに詳しく調べる際には、CT・MRI検査を行います。

◎骨転移の治療法

骨転移に対する治療は、通常のがん治療に加え、痛みを和らげる「緩和ケア」と骨病変の進行を抑制する「骨への治療」を患者さんの体力や、がんの進行度、骨転移の状態にあわせて組み合わせながら行います。

・薬物療法
骨転移が確認された場合、骨の痛みがあれば、鎮痛剤を痛みの段階に合わせて使います。代表的なものは抗炎症剤やオピオイドです。それまで治療をしていなかった患者さんには、まずは内分泌療法が取られるのが一般的です。骨転移の進行を抑える薬としてゾレドロン酸(ゾメタ)やデノスマブ(ランマーク)を投与します。ランマークは腎臓の機能が低下しても投与可能ですが低カルシウム血症が引き起こす可能性があり、ビタミンDとカルシウムを併用します。またゾレドロン酸、デノズマブともに、稀ではあります下あごの骨が壊死する合併症があるため、投与中は歯科での治療は原則できません。どちらの薬剤も治療中は注意事項をしっかり守る必要があります。
・放射線療法
骨転移に対する放射線治療の主な目的は、完治を目指す放射線療法とは異なり、痛みをコントロールすることにあります。外部照射の場合、全身にあてることはできないので、限局した痛みに対して行います。一方、骨転移の箇所が多い場合には体内照射が用いられます。少量の放射線を帯びた放射性アイソトープを静脈に注射し、血流にのって前立腺がん細胞に侵された骨格部位に運ばれ放射線を発することで、痛みを軽減します。また現在ラジウムを転移部位に集積させて治療する薬剤が大学病院で治験中です。また骨転移により骨髄が圧迫されますと手足の麻痺やない尿排便困難、しびれなどが出現します。この場合は急いで放射線治療を行う必要があります。
・外科的治療
骨転移により骨髄が圧迫されたときに、骨転移巣を切除することもあります。

骨シンチグラフィー以外の検査法

1.骨シンチグラフィーは、がんの転移以外にも加齢による脊椎の変性や怪我、手術などによっても陽性となることがあります。がんの転移かどうかわからない場合はMRIを撮影します。

2.前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA検査だけでは骨に転移があるかわかりません。一般的に、4ng/ml以上が精密検査の基準とされていますが、これは治療前の目安です。治療後の場合は治療法により数値の見方は異なります。前立腺がん患者にとってPSA値は、根治をめざして手術を行った場合でも、他の治療法であっても、一度診断を受けた後は、長く付き合っていく数値となります。再発や骨転移の不安を抱える中で、かえって「PSAノイローゼ」になる人も少なくありません。しかし、数値の持つ意味は治療の段階や個人によってさまざまです。納得がいくまで、担当医に説明をしてもらい、骨転移が疑われる場合は 骨シンチグラフィーなどの検査を行うことで早期発見に努めることが大切です。

3.破骨細胞が骨を溶かす際に血液・尿で増える物質を調べる骨吸収マーカーや、骨芽細胞が骨を造るときに血液で増える物質を調べる骨形成マーカーなどの血液・尿検査を併せて行います。


クルクミン