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「腺ノート」で適切な前立腺がん治療と生活の質向上を


「腺ノート」とは、前立腺がんの方向けの無料ツールです。体調や薬服用の有無を記録するとグラフ化してくれます。医師が患者の症状や悩みを把握しやすくなるので、より適切な治療が行えたり、生活の質を向上できたりすると期待されています。詳しくご紹介します。

スマートフォンを見るシニア

■腺ノートとは

腺ノートとは、体重や体脂肪率などの日々の体調や検査値、服薬などの状況を細かく記録し、前立腺がん患者さんの病状の推移を折れ線グラフなどで表示してくれるツールです。診察時に医師とのコミュニケーションをサポートするために開発されました。記録方法はパソコンやスマートフォン、または 手書きの記録用紙で、医療機関にて用紙を入手するか、デジタル機器の場合はアンドロイドまたはアップルのアプリストアからダウンロードして使います。印刷も可能なので、診察時はプリントアウトして医師に提出することができます。細かな変化も可視化することで、限られた診察時間の中でも医師に対して自身の状況を的確に伝えられることを目指し、横浜市立大学附属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科部長の上村博司先生と腺友倶楽部(前立腺がん患者と家族の会)会長の武内務さん監修のもと、リリースされました。

◎メリット

日常生活に影響する症状が主な心配事である患者と、治療の説明や患者さんの状態をより把握したいと感じている医師との意識のギャップを埋めることができます。患者さんが自身の症状や変化を正しく具体的に伝えることは非常に難しいものです。しかし、腺ノートがあることで医師が患者さんの変化を把握しやすくなり、適切な治療が行えることが期待されます。実際に、世界最大のトータルヘルスケアカンパニー、ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門の日本法人である、ヤンセンファーマ株式会社が実施した「前立腺がんの薬物治療における医師-患者間のギャップ調査」では、医師と患者間でよりコミュニケーションがとれていたら治療が変わっていたと感じた経験がある、と半数を超える医師が回答しています。

◎デメリット

腺ノートの利用には会員登録(メールアドレスとパスワードの設定)が必要となります。広告や宣伝が含まれるメールが送られてきたり、サービス内で広告が表示されたりします。ただし、事前または事後に所定の方法で連絡した場合は、サービスの提供に必要な場合を除いて、情報の配信提供が行われないように設定することが可能です。

◎詳しい使い方

使い方は至って簡単。下記のようなチェック項目表の該当するマス目にチェックマークを入れていきます。

なし 強い 弱い 耐えられない
痛み、しびれ
だるさ
ほてり、赤み、発汗

あてはまるものにチェックを入れると、グラフ化されます。

かなり少ない 少ない 通常 多い かなり多い
食事量
下痢、便秘
日々の活動

前立腺がんは高齢者の患者が多いこともあり、パソコンやスマートフォンに不慣れな場合は記録用紙に記入し、1か月分のデータを事務局まで送ると、わかりやすくグラフ化したレポートを返送してもらえます。パソコンやスマートフォンのアプリを利用する場合は、データを入力すると自動でグラフ化、また手軽に印刷まですることができます。入力する項目は最低限の数に絞られており、「お薬」「症状」「検査・測定数値」「日記」となっていますので、ご自宅にて短時間で記録することができます。項目名なども医療用語ではなく、わかりやすい表現となっています。「痛み・しびれ」「だるさ」「ほてり・発汗」等については、「なし」から「耐えられない」までの4段階、「食事量」「下痢・便秘」「日々の活動」等については「かなり少ない」から「かなり多い」までの5段階から選びます。記録用紙とパソコン・スマートフォンアプリでは若干記録できる内容が異なりますが、基本的には患者さんの伝えたいことと医師の知りたいことを精査し、内容に反映したものになります。腺ノートは株式会社ウェルビーが提供する連携サービスの「Welbyシェア」、「Welbyマイカルテ」で、体調を家族や医療者に共有したり、記録したデータを表やグラフで振り返ったりすることができ、どの記録方法であってもクラウドサーバに記録と履歴が保存されます(記録用紙の場合はデータを事務局に郵送する必要あり)。「Welbyシェア」「Welbyマイカルテ」には「腺ノート」で登録したメールアドレス、パスワードでログインします。いずれも無料で使うことができます。

まとめ

前立腺がんは長期的に向き合うことになる患者さんがほとんどだと思います。治療や観察を続ける中で、患者さんのQOLの維持は重要課題です。ただし、QOLの維持に不可欠なPRO(Patient Reported Outcome:患者報告アウトカム)は満足に行われているとは言い難く、多くの医師が診察時間の短さを感じているのが現状です。今後は、腺ノートの活用が患者さんとのコミュニケーションの助けとなり、患者さんにベストな治療法の決定に貢献するものと思われます。


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