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前立腺がんの症状


前立腺がんの症状を自覚症状のほとんどない初期から、進行に合わせて現れるさまざまなトラブル・痛みなど、段階別に詳しく解説します。

前立腺の位置と役割について

前立腺は、男性にしか存在しない臓器です。何となくどの辺にある臓器なのかはイメージできても、普段、体の中でどういった働きをしているのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。

前立腺

【位置】
前立腺は膀胱の直下に尿道を囲むように配置されています。前面には恥骨、背面には直腸があり、肛門から指を入れて直腸の壁越しに前立腺に触れることができるため、前立腺がんの検査では直腸診が重要な診断方法となっています。
【役割】
前立腺は栗や胡桃ほどのサイズで、重さは成人男性で15g~20g、精液の一部である前立腺液を分泌する役割があります。精液というと精子がほとんどを占めているのではないかと思われがちですが、精液のうち精子が占める割合は実は1%とほんのわずか。そして精液の約30%を占めているのが、前立腺液です。男性ホルモンによって前立腺から分泌される前立腺液は精子に栄養を与えたり、保護したり、卵子と受精しやすくする働きを担っています。また、前立腺の中心には尿道が通っています。尿道は膀胱にたまった尿を排出するときの通り道であると同時に、射精時は精液が流れる通路でもあります。膀胱から尿が漏れないようにしたり、射精時に尿と精液が混じらないようにするのも前立腺の重要な役割のひとつです。ちなみに生殖機能において重要な役割を担っている臓器ですが、男性ホルモン自体を分泌しているわけではないため、前立腺がなくなったとしても男性らしさがなくなるということではありません。ただし、前立腺そのものの成長や活動には男性ホルモンが影響するので、前立腺にがんができた場合、がんも男性ホルモンの影響を受けて成長してしまうという性質があります。

前立腺がんの症状

前立腺は外側が膜に包まれており、膜の内側に前立腺液を分泌する腺が存在します。構造的には、尿道の周囲に移行域(内腺)、中心部にある中心域、外側にある辺縁域(外腺)に分かれており、内腺と外腺は主に腺細胞、中心域は主に筋肉細胞で構成されています。

前立腺の病気といえば、前立腺肥大症と前立腺がんがよく知られていますが、前立腺肥大症は内腺に発症します。一方、前立腺がんの多くは外腺部分で発症します。従って、かなり大きくならないと尿道を圧迫することがないため、初期の段階では症状が分かりにくいといわれています。

進行後の症状としては、尿が出にくかったり、尿や精液に血液が混じったりというものが挙げられますが、それらの尿トラブルとは別に、骨に転移をすると痛みや骨折で発見されることもあります。たとえば、極端な場合は、背中の骨に転移をして進行すると脊髄という神経が圧迫され、手足の麻痺、排尿・排便が不自由になるという症状が急激にくることもあります。

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【限局がん(TNM分類=T1~T2)での症状】
がんが前立腺の中に留まっている状態で、がんによる前立腺の腫れもほとんど見られません。早期の前立腺がんには人が感じられるような症状はありません。T1段階では触知や画像診断も不能です。早期で発見される方は、別の病気(たとえば前立腺肥大症など)での診察の結果、発見されることが多いのです。それはがんそのものの症状というよりは、一緒に合併していた肥大症や炎症のための症状が前立腺がんの診断の糸口になったといえるでしょう。
【局所浸潤がん(TNM分類=T3でN0,M0)での症状】
直腸診やPSA値、経直腸的前立腺超音波検査により前立腺がんの疑いがあると診断された場合、がんの広がりを確認するためCT検査あるいは、MRI検査、骨シンチグラフィによる検査が行われます。これらの検査によって、前立腺内の進行の度合いやリンパ節転移、または骨転移の有無を確認することができます。浸潤とはがんが周囲に染み出るように広がっていくことです。局所浸潤がんのTNM分類がT3でN0,M0 の場合は前立腺被膜をこえてがんが広がってはいるが、所属リンパ節への転移や、他の臓器への遠隔転移はない状態です。T1~T2に比べると治療方法の選択肢が少なくなります。

前立腺がんのステージ・TNM分類について詳しくはこちら

本当に前立腺炎・前立腺肥大症と区別がつかないの?

基本的には前立腺がんの症状自体は前立腺のがんが相当に進行しないと出てきません。

どうして区別がつかないの?
前立腺の全体ががんで占められるような状況になると、尿が出にくかったり、お尻の違和感や血尿などの症状が出ますが、これは相当がんが進行している状態です。一方、前立腺肥大症は尿道に近い内腺で発生しますので、症状が出やすいといわれています。加齢や生活習慣によって前立腺が次第に大きくなり、尿道を圧迫するため、さまざまな排尿障害が現れてきます。

前立腺肥大症と前立腺がんとの違い

区別がつかないから大切!定期的なPSA検査
治療をして治るがんは、ほとんど症状がないものです。前立腺がんに限らず、胃がんや肺がんなども治療ができるのは基本的に早期発見のケースが多いです。早期発見が可能になる最初の一歩が検診や人間ドックなどで行われるPSA検査です。PSA(前立腺特異抗体)は、前立腺がんがあると血液中に増える物質で、その物質の量を調べることでがんの有無を推測できるため、腫瘍マーカーと呼ばれています。がんの有無だけでなく、進行度の推測や治療効果の判定、再発のチェックなどにも利用できます。
PSA検査を詳しく知る
注意すべきは、PSA値が高いからといって、必ずしも前立腺がんとは限らないということです。値が高い場合は、その後さらにMRI撮影などの詳細な検査を受けて、がんの有無を確認することになります。一般的には50歳になったら検査を受けることが勧められています。最近は地方自治体のがん検診にPSA検査を加えている自治体も増えていますから、積極的に受けておきましょう。ただ、身内に前立腺がんになった方がいる場合は、リスクヘッジのためにも40代のうちから検査をスタートさせておくとよいでしょう。

前立腺肥大症であれば、症状に悩まされることはあっても命にかかわることはありません。症状が似ているため、前立腺肥大症と思って放置しておいた ら、実際には前立腺がんが相当進行した状態だったということもありうるので、自覚症状がない段階から診断を受けることが大変重要です。


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