前立腺がん治療を受けておられる方、治療が終わった方への情報サイト

前立腺がんの転移について


進行が遅いといわれる前立腺がんですが、もちろん転移する場合も多く見られます。転移しやすい部位や症状、痛みについて詳しく解説していきます。

201506_11

がん「転移」の基礎知識

がん細胞はいろいろながん遺伝子や、がん抑制遺伝子の異常で生じることが最近わかってきました。
正常な細胞は、体や周囲の状態に応じて増えるのをストップしたり、分化して様々な機能を担うようになったり、脱落して他の細胞と入れ替わるような働きがありますが、がん細胞はこうした仕組みが正常に働かず、時間をかけて数を増やし続けたり、他の場所に移動しやすくなるなどの性質を持ってしまいます。

「がんが転移した」とか「転移の危険性がある」という表現を目にしたことがある人も多いと思いますが、「転移」という現象はそれほど簡単なことではありません。がん細胞は、最初にできた臓器を離れると、通常は死んでしまうものなのです。つまり、前立腺がんならば前立腺を離れた途端、死んでしまうのが一般的だということです。

前立腺がんの患者さんの血液から、がん細胞が見つかることは珍しくはありません。これは、がん細胞が転移先を探して血中を漂っている状態で、他の臓器に生着することなく死んでしまうことがほとんどです。
しかし悪性のがんには、非常に低い確率で、最初にできた臓器を離れても生存する力を備えているものもあります。

また、根治目的で一度手術や放射線治療を行った場合に、目に見えない微細ながん細胞が残り、それが再び増殖し始めることを「再発」といいます。この再発についても、離れた組織や臓器に「転移」した状態で見つかることがあります。

がん細胞が前立腺を離れ、リンパ管や血管を経て、リンパ節や骨髄、他の臓器で増殖した「転移」の場合、残念ながら治療が難しくなり、特に遠隔臓器への転移であれば、根治は不可能と考えた方がよいでしょう。ホルモン療法や放射線療法で、できるだけがんの増殖を抑え、QOL(生活の質)を維持しながら、がんと共存を図るのが一般的な治療方法となります。

前立腺がんで転移しやすい部位

前立腺の中にあったがんは、リンパや骨、骨髄に転移するケースが多く見られます。前立腺がんの転移の中で、最も多いのは骨への転移です。そのため、前立腺がんで転移が疑われる場合には、「骨シンチグラフィ」という検査を行います。骨への転移は、痛みや麻痺が出たり、骨折しやすくなるため、それらの症状を抑える治療も行われます。骨転移の次に多いのがリンパ節転移です。特に骨盤の中の前立腺の周りにあるリンパ節に多く見られます。リンパ節への転移の有無を調べるには、CT検査を行うのが一般的です。

転移での症状・痛みについて

前立腺がんは初期における自覚症状が全くといってもいいほどないがんですが、転移している場合は痛みや排尿トラブルなどの症状があります。

骨・骨髄転移
前立腺がんは骨盤、下部腰椎、大腿骨、背骨、肋骨などに転移しやすく、腰や脚の痛みのために受診し、初めて前立腺がんだとわかるパターンもあります。骨への転移が疑われる場合には必ず「骨シンチグラフィ」という検査を行います。骨にできたがんに反応する性質を持つ弱い放射性物質を静脈に注射し、特殊なカメラで撮影することで全身の骨の様子を確認します。骨転移には有効な薬剤があり、痛みの緩和にはステロイドなどの薬物が用いられるほか、放射線治療が有効であるといわれています。他のがんの多くは、末期になってから骨転移が起こる場合が多いのですが、前立腺がんは比較的早期でも骨に転移する場合があります。
リンパ転移
骨転移以外で転移が起きやすいのが、リンパ節です。多くは骨盤内のリンパ節転移です。症状としては、脚がむくんだり、リンパ管の炎症が起きたりします。前立腺肥大症の初期症状とよく似た排尿トラブルが起こり、尿が排出できず、腎不全を招く恐れもあります。リンパ節転移の疑いがある場合は、主にCT検査を行います。症状に合わせたホルモン療法で進行を抑える治療が一般的です。
肺・肝臓など他臓器転移
その他に転移しやすいのは、肺・肝臓・胸膜・副腎などです。特に肺は全身の血液が循環する器官であるため、転移が起こりやすい臓器なのです。別の臓器に転移しても、転移がんは元のがんの性質を持っています。前立腺がんが肺や肝臓に転移しても、それは「肺がん」や「肝臓がん」ではなく、「転移性前立腺がん」です。通常、自覚症状は乏しく、経過観察中に撮影された胸部エックス線画像やCT検査、MRIなどで発見されることがほとんどです。転移したがんが気管支に進展したり、気管支壁に転移した場合は、咳、血痰、喘鳴、息切れなどの症状が出ることがあります。

治療方針に不安があれば、セカンドオピニオンを

再発したがんや、転移のあるがんの治療については、担当医や薬剤師、看護師とよく話し合いましょう。完治は難しいですが、がんと共存していくということも可能です。治療方針に不安があるようであれば、別の病院でセカンドオピニオンを求めるのも有効な手段です。前立腺がんのセカンドオピニオンを聞く場合は、その病院で少なくとも放射線治療との手術両方が行われているところでなければ、治療の比較ができませんので意味がありません。


クルクミン