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前立腺がんのステージと治療法


前立腺がんのステージ分類はTNM分類とは別に4段階で表現されます。その病期別の症状・治療法を解説していきます。

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前立腺がんのステージ(病期)A~D(Ⅰ~Ⅳ期)

前立腺がんはTNM分類とステージ(病期)で判断されるのが一般的です。TNMとはtumor(腫瘍)、nodes(リンパ節)、metastasis(転移)のことを表しており、Tは「がんが前立腺のなかにとどまっているか、周囲の臓器や組織にまで浸潤しているか」、Nは「リンパ節への転移があるかどうか」、Mは「骨や肺、肝臓などの前立腺から離れた臓器への遠隔転移があるかどうか」を表します。

TNM分類 N0
リンパ転移
なし
M0
遠隔転移
なし
N1
リンパ転移
あり
M1
遠隔転移
あり
T1:
触知不能
画像診断不能
T1a:
組織を調べると
切除組織の5%以下に
偶発的に発見されたがん
病期A 病期A 病期D 病期D
T1b:
組織を調べると
切除組織の5%を超え
偶発的に発見されたがん
病期A 病期A 病期D 病期D
T1c:
PSA値の上昇から
針生検で発見された
小さながん
病期A 病期A 病期D 病期D
T2:
前立腺限局がん
T2a:
がんの広がりが片葉の1/2以内
病期B 病期B 病期D 病期D
T2b:
がんの広がりが片葉の1/2を超えている
病期B 病期B 病期D 病期D
T2c:
がんが両葉へ広がっている
病期B 病期B 病期D 病期D
T3:
被膜外に浸潤
T3a:
がんが前立腺被膜外へ広がっている
病期C 病期C 病期D 病期D
T3b:
がんが精のうまで広がっている
病期C 病期C 病期D 病期D
T4:
隣接臓器に進行
がんが精のう以外の隣接臓器まで広がっている 病期D 病期D 病期D 病期D

例えば「T2N0M0」であれば、「がんは前立腺内に限局しており、リンパ節転移も遠隔転移も見当たらない」という判断になります。治療により完治が期待できるかどうかは、がんが前立腺のなかにとどまっているかが重要です。前立腺のなかにとどまっているのであれば、放射線治療や手術によって完治を目指すことが可能です。しかし他の臓器まで転移がみられる場合、完治を目指すことはできません。従って、完治の期待できる「早期がん」はT1~T2でN0M0という状態になります。

また、病期はステージA~D(Ⅰ~Ⅳ期)という分類で表されることもあります。検査によって見つかるのはB以降のがんになります。

分類 内容
ステージA 触診や超音波検査では見つからないごく小さな腫瘍。前立腺肥大症などの手術の際に、偶然発見されたがん。
ステージB 前立腺のなかにとどまっているがん。
ステージC 前立腺被膜を越えて進展しているが、転移はしていないがん。
ステージD リンパ節や臓器への転移がみられるがん。

「グリソンスコア」で治療法が変わる

TMN分類とステージだけで治療法が決まるものではありません。同じステージであっても、ほかの組織に浸潤しやすいなどの悪性度の高いものと、それほど高くないものがあるからです。ステージBであっても悪性度が低ければ治療しない場合もあります。このがんの組織学的悪性度を「グリソンスコア」という指標で表します。生検で採取した組織を顕微鏡で見て、1(最もおとなしく見える)~5(最も悪性度が高く見える)の5段階で、面積が最も大きな病巣と、次に大きい病巣について評価をします。その合計の2~10がグリソンスコアとなります。6以下であれば、おとなしく、7は中間、8以上で悪性度が高いと判断されます。

前立腺がんのステージ別5年生存率

前立腺がんは比較的生存率が高く、5年生存率も全がんの平均を上回っています。5年生存率とは「がんの治療開始から5年後に生存している人の割合」という意味です。また、5年相対生存率とは「がんの人とがんではない同性同年齢の人の5年後の生存率を比較した割合」という意味です。前立腺がんは進行が非常に遅いという特徴があるため、ステージCでも5年生存率が80%を超えています。また、5年相対生存率についてもステージCまで100%となっていますので、前立腺がんの有無にかかわらず死亡率はほぼ同じであるということがいえます。

がんの種類 分類 5年実測生存率 5年相対生存率
前立腺がん ステージA 89.6% 100.0%
ステージB 93.1% 100.0%
ステージC 86.5% 100.0%
ステージD 53.6% 65.2%
不明 84.3% 100.0%
86.4% 100.0%

※出典:がん統計’14「全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2005~2006年診断例)」

前立腺がんは比較的、治療が行いやすいがんですが、治療を行うことでかえって体に負担がかかってしまったり、副作用が出てしまう場合もあるので、進行度や悪性によっては治療を行なわずに経過を観察するほうが、患者さんのQOL(生活の質)を下げないで済むという一面もあります。
詳しくは「進行度・悪性」をご覧ください。

ほかのがんとの比較

実測生存率にしても相対生存率にしても、なぜ5年なのかというと、がんが転移して再発するまでにかかる期間が、長く見積もっても5年であることが理由として挙げられます。つまり、5年以内に自覚症状や健診での異常が見つからなければ、がん細胞を完全に取り除くことができていると考えることができるわけです。ほかのがんとの5年相対生存率の比較をしてみると、5年相対生存率が100%のがんは前立腺がんステージA・B・Cのみであることがわかります。5年相対生存率が0%のがんは存在しませんが、極端な話をすれば、5年相対生存率100%であれば治療で治るがん、0%であれば治療で治らないがんであるということになります。

ステージ別5年相対生存率の比較

がんの種類 ステージA ステージB ステージC ステージD
前立腺 100.0% 100.0% 100.0% 65.2%
がん全体 93.2% 83.4% 52.9% 21.0%
食道 86.8% 54.0% 31.4% 14.1%
97.8% 66.7% 49.1% 7.9%
肺・気管 84.6% 50.4% 23.3% 6.2%
子宮頚部 92.7% 79.0% 58.3% 21.9%

ステージ別、前立腺がん治療法の説明

前立腺がんの予後は他のがんに比べると非常によく、ステージに応じた治療を適切に行うことで完治することも珍しくはありません。前立腺がんの治療方針は、ステージの他、病状や悪性度、患者さんの意向を踏まえ、主治医との相談の上で決定されます。

ステージA(ごく小さな腫瘍の場合)
小さながんは治療法の選択幅は多いです。前立腺がんは進行が遅いので、すぐに手術しない場合も多く、定期的なPSA検査で経過観察をする待機療法を取りながら、治療のベストなタイミングを待ち、進行したら積極的な治療を開始する傾向があります。
ステージB(前立腺のなかにとどまっているがん)
ステージBまで進行してくると摘出手術も視野に入れ、治療を検討していきます。その場合、がんが前立腺内にとどまっていることはもちろんですが、PSAは10ng/ml以下、グリソンスコアは7以下が望ましいとされています。手術法も確立されているため、根治も期待できますが、合併症の可能性もありますので、治療法については医師とよく相談する必要があります。
ステージC(前立腺被膜をこえて進展)
ステージCに進行してくると手術療法に比べ、放射線療法やホルモン療法が主流となってきます。放射線療法は、手術療法のように体を切開することがないので、患者さんの体への負担が少ないのがメリットですが、治療期間が1~2ヶ月と長期にわたることや、放射線が正常な組織まで傷つけてしまい、副作用が出ることなどがデメリットとして挙げられます。
ステージD(転移)
ステージDまで進行している場合は、根治が難しくなります。ホルモン療法や抗がん剤を使用することが多いです。骨に転移している場合は、痛みを抑えるために放射線療法を行う場合もあります。

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