前立腺がん治療を受けておられる方、治療が終わった方への情報サイト

前立腺がん治療中・治療後の生活について


前立腺がんの治療中や術後の生活について詳しく解説します。薬の副作用や、術後の障害など、治療の前に知っておいた方がいいことをまとめました。

Medical team sitting at the table in modern hospital

治療効果を上げる・術後の回復をサポートするために

治療は医師の指示のもとに行いますが、食事や生活の見直しも大きなポイントとなります。前立腺がんの治療法は無治療経過観察以外では、大きく分けて、薬物治療、放射線治療、手術療法があります。前立腺がんは高齢者に多いがんなので、それぞれの治療法の際の注意点を踏まえて、合併症などに充分な配慮をすることが大切です。

薬物治療中の注意点

前立腺がんの最もメジャーな治療は薬物治療(ホルモン療法)になります。ホルモン療法は前立腺がんに関係するテストステロンというホルモンの分泌や働きを抑えるために、注射薬や内服薬を用いることで、精巣を摘出したときと同じような効果が得られるのが特徴です。

食事について
食べ過ぎに注意しましょう。腹八分目を心がけてください。特に動物性脂肪を多く含む食品はできるだけ控えるようにしましょう。日本で急激に前立腺がんの発症数が増えたのは、食生活の欧米化にも一因があると考えられています。野菜を中心にビタミンやミネラルをしっかりと摂取し、高脂肪・高カロリーな食品を避けた栄養バランスのよい食事は、治療中のみならず、治療後も継続することが大切です。
適度な運動を心がけよう
薬物治療中は適度な運動をよく行うことを心がけましょう。運動が有効な理由や、どの程度の運動が有効かについてはわかっていないのですが、運動習慣がある方がよいということはわかっています。激しい運動をしたから、効果も大きいというわけではありません。定期的な有酸素運動を無理のない範囲で続けてください。
高血圧や糖尿病に注意
ごくまれにですが、ホルモン療法における女性ホルモン剤は抗男性ホルモン剤の副作用に加え、心機能異常や血栓症などの副作用が出ることがあります。高血圧や糖尿病と同じで、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性があるので、胸部痛や動悸、息切れ、四肢のしびれなどを感じた場合は、直ちに担当医に相談をしましょう。

放射線治療の注意点

放射線治療は放射線を用いて、がん細胞を殺す治療法です。一般的に、皮膚の上から放射線を照射する「外照射」となるため、照射された部分の皮膚に、日焼けのような症状が現れます。皮膚の基底細胞は、がん細胞と同じく分裂のさかんな細胞であるため、細胞分裂がさかんな細胞に働きかける放射線照射による反応が出やすいのです。皮膚の乾燥やかゆみ、ヒリヒリ感、発赤や色素沈着などの色調の変化、むくみ、表皮剥離などの皮膚炎の症状が予想されます。このような症状が現れる時期や症状の程度などは、物理的な刺激や化学的刺激が影響します。放射線の治療を受ける場合には、皮膚への刺激を和らげるように工夫し、皮膚炎の予防に努めることが大切です。

【対処法例】
  • 皮膚への刺激になる刺激物(カレーなどの辛いものなど)を摂取しない
  • 照射部分の皮膚をこすらない
  • 化粧品や軟膏などを塗らない
  • 肌に刺激の少ない柔らかい衣服を着用する

放射線皮膚炎は、放射線治療独特の症状ですので、皮膚の治療の際には、自己判断で皮膚科に行ったりせず、放射線に関する専門知識を有する放射線科医師の指示を受けるようにしてください。
通常は、照射終了後1か月程度で、ほぼ治療前の状態に回復するといわれていますが、汗腺や脂腺の機能回復には時間がかかるため、乾燥肌になったり、汗をかきにくいなどの症状が残る場合もあります。また、照射終了後に抗がん剤治療を行ったり、プールの塩素や温泉成分の刺激がきっかけとなって、照射部位にだけ炎症が現れる場合もあります。
その他、以下のような副作用が起こることがあります

【放射線治療中に起こる副作用】
  • 頻尿、排尿痛、排尿困難
  • 排便の回数増加、下痢
  • 直腸、肛門の炎症、出血など痔のような症状
  • 倦怠感、食欲不振
  • 白血球の低下

倦怠感、食欲不振、白血球低下については、照射範囲が狭いため、ほとんどの方には起こりません。治療開始2週間程度で、トイレの回数が増えたり、排尿時に軽い痛みを感じたりします。個人差はありますが、ほとんどの場合、症状は軽いものです。ただし、きわめてまれに閉尿になることがあります。おしっこが出ない場合は前立腺が腫れている可能性がありますので、すぐに担当医まで連絡をしましょう。治療中に生じる急性期の症状は、いずれも一時的なもので、治療が終われば自然と治まります。

【治療後数か月から数年後に起こる副作用】
  • 直腸の炎症、出血
  • 血尿、尿道狭窄
  • 男性機能の低下

放射線を照射してから数年後に、直腸からの出血(血便)があることがあります。前立腺近くの直腸前壁は放射線により粘膜が弱っているため、将来的に大腸内視鏡を受ける際には、前立腺近くの大腸粘膜の生検は直腸に傷ができることがあるので、避けるようにしてください。直腸に潰瘍ができると慢性的に出血が続く直腸出血が起こり、厄介です。

前立腺がん摘出手術、術後の生活について

手術療法は前立腺を周囲の臓器ごと摘出する治療法です。前立腺がクルミ大の小さな臓器であることや、前立腺がんは臓器内に多発する性質があることから、他のがんとは違い、部分切除ではなく全摘出が基本となっています。手術療法を選択された方に、術後の生活・注意点などをまとめました。

どれくらいで退院できるの?

手術法によりますが、概ね7~14日で退院し、通常の生活に戻ることが可能であるといわれています。アメリカではダヴィンチによる手術の翌日には退院をすることがほとんどだそうですが、これは技術の差によるものではなく、アメリカでは入院費用が高額なため、カテーテルをつけたままでも短期間で退院を希望するのが一般的だからです。

手術法 手術時間 入院日数
開腹手術 3~5時間 14日
腹腔鏡手術 3~6時間 7日
ロボット支援(ダヴィンチ)手術 2~4時間 7日

術後の注意点

手術の直後であっても、翌日からでも歩いたりすることは可能です。6日目以降、尿道と膀胱のつなぎ目がきちんと繋がっていることを確認したら、カテーテルを抜きます。7~10日目で退院が可能となります。ただし、退院後は長時間座ったままの作業を続けたり、自転車や自動車の運転などのお尻に負担のかかるような姿勢を長くとることは避けるようにしましょう。


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