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イクスタンジとは~効果・副作用とその対策まで~


イクスタンジは通常のホルモン療法で効果が出なくなった時に使う薬です。非ステロイド性で、男性ホルモン受容体のはたらきを抑制するという作用機序になります。同じタイプの薬であるビカルタミドや、似たタイプのザイティガとの違いや副作用と対策を解説。

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イクスタンジとは

イクスタンジは2014年5月にアステラス製薬から販売された、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤(一般名:エンザルタミド)で、前立腺がんのホルモン療法で使われる飲み薬です。1日1回4錠を服用します。非ステロイド性の抗アンドロゲン薬で、なかでも「去勢抵抗性前立腺がん」に対する新しい選択肢として注目されています。

◎ホルモン療法で効果が出なくなった人に

抗アンドロゲン薬は、男性ホルモン(アンドロゲン)の作用を阻害することで、がん細胞の増悪を防ぐことを目的とした薬です。前立腺がんのホルモン治療においては、テストステロン(アンドロゲンの一種)の分泌を抑えるLHRHアゴニスト製剤(ゾラデックスやリュープリンなど)やGnRHアンタゴニスト製剤(ゴナックス)、抗アンドロゲン製剤(カソデックスやオダインなど)を単体または組み合わせて使用することで、がんの成長を遅らせます。しかし、どの薬も個人差はあるものの、2年から10年の間に耐性ができ、ホルモン治療の効き目を持たなくなってしまいます。そうしたがんを「去勢抵抗性前立腺がん」と呼びます。ホルモン治療が効かなくなると、あとは抗がん剤治療へと頼ることになるのですが、こうした去勢抵抗性の前立腺がんに対して使用を検討されるのがイクスタンジです。
イクスタンジの作用メカニズムとしては「アンドロゲンが受容体に結合する過程」「アンドロゲン受容体が核内へ移行する過程」「アンドロゲンとDNAが結合する過程」など、アンドロゲンに関わる複数の機構を阻害することが分かっています。現在は転移性去勢抵抗性前立腺がん患者だけが使用可能ですが、転移性ホルモン感受性前立腺がんでホルモン治療を受けたことがない人にも投与を可能にする治験を行っています。将来的には、通常のホルモン治療薬と併用できるようになる可能性があると期待されています。

◎ザイティガ・ビカルタミドとの違い

精巣由来の男性ホルモンだけでなく、副腎由来の男性ホルモンも制御できるという点では、同類薬のザイティガやビカルタミドと同様ですが、イクスタンジはこれらの同類薬にみられる肝障害のリスクも低いようです。

起こりうる副作用とは

国内外の臨床試験では、何らかの副作用が66~69.3%に認められています。副作用の代表的なものとしては、高血圧、疲労、体重減少、便秘、背中の痛み、関節痛、心電図QT延長、ほてり、無力症などです。重大な副作用として報告されているのは、痙攣発作、血小板の減少があります。

◎副作用の対策

頻度はまれですが、イクスタンジの成分には痙攣を誘発する物質があることが分かっています。そのため、てんかんや脳卒中などを起こしたことがある人は医師に相談の上、経過を慎重に見ながら服用する必要があります。副作用が強い場合は薬剤の減量、休薬、抗がん剤への変更が勧められます。

◎どんな人に向いているか

去勢抵抗性前立腺がんの人向けの薬剤であると説明してきましたが、効果があり比較的副作用も少ないのであれば、もっと早い段階のホルモン療法として使用してはどうかと思われる方もいるのではないでしょうか?イクスタンジをなぜ初期治療ではなく、従来のホルモン療法の効果が薄れてから使用するのか。それは、これまでに述べた作用メカニズムも一つの理由ですが、何より費用の問題が大きいからです。イクスタンジは1錠3,138円となっており、1日1回、4錠の服用なので1日約12,000円、1か月では約37万円の費用になります。保険を適用できるので実際の負担は3割となりますが、それでも1か月11万円強となります。他のホルモン剤と比較すると、カソデックスは1日1錠を1か月服用して約28,000円(1錠910円)、ゾラデックスは月1回の注射で39,000円と安価です。ホルモン療法だけで前立腺がんの完治は難しく、長期的な治療や再発の可能性も考えると、イクスタンジは去勢抵抗性前立腺がんになってからの使用が適当だといえるでしょう。
イクスタンジは前立腺がんのみでなく、乳がんへの適用拡大を目指して、第3相臨床試験を2017年よりスタートさせます。現在主流の3治療法のいずれも効きにくい「トリプルネガティブ乳がん」への効果を見極めるとのこと。適用拡大が実現すれば、薬価の面でも何らかの動きがみられるかもしれません。

去勢抵抗性前立腺がんのホルモン療法において、頼もしい存在の登場となったイクスタンジ。
抗がん剤への切り替え時期や使用期間などは、医師と相談しながら決めていくことが重要です。


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